ビートたけし『戦場のメリークリスマス』

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「ろーれんすさん。あなた、ふぁーぜる・くりすます、ごぞんじかな?」
「知ってますよ。サンタクロースのことでしょう」
「今夜、わたし、ふぁーぜる・くりすます。ふぁーぜる・くりすます! へへ、うへへへッ」

題名にクリスマスと入ってるワリには、そんな空気感皆無な殺伐無頼な男の友情……
つうかまぁ、ハッキリ云って高村薫センセイ燃え萌え系男色趣味映画だが、何を隠そう、オレの映画人生の出発点となった作品なんだよな、コレ。
劇場で公開されたのは、オレが小学校6年生の春あたり。なぜ覚えているかって、修学旅行先、京都・西京極の映画館でポスターを見かけたから。
その後、TVで見る機会もあったのだが、初放映時はオープニング、たけしがジョニー大倉に、

「お前のピストルだか大砲だか知らんが、そいつをどうやって白モノのケツにぶちこんだ! 口が達者じゃねぇんだから、いまココでやってみせろ! やってみせろ!」

というセリフを聞くや、オカンの血相変貌、「こんなヤらしいの見たらアカン!」とチャンネルを変えられたのであった。なにしろ精通したかどうかな矢先の中坊のこと、オカマの意味がすぐにはわからず、不思議な気持ちで翌年の放映まで待つ羽目となった。見直した時には、冒頭のやりとりの意味も、すでに理解していたけどね。筒井康隆の小説などを読みあさっていたおかげか、悪友どもにエロ話も吹き込まれるようになっていたせいか、とにかく、知識としては知っていたと。あ、今でも知識でしか知らないし、尻たくもとい知りたくないよ。痛いの、イヤだから(<そういう理由かい!)
本作はオレがビデオで初めてゲッツした映画でもあった。オレが中学校3年生の頃から、30年来のおつきあいになる近所の電気屋さんがビデオレンタル屋を始め、違法ながらダビングしてくれたのであった。たけしと坂本龍一両方のファンだったせいで、セリフが頭に刷り込まれるほど、何度見直したかわからない。今はカビカビになって見られる状態じゃない、つうか捨てたような気もするが、オレにとって、永遠に忘れ難い映画なのは間違いない。
大島渚監督にはとある取材に同行した折、御本人にもお会いできた。もっとも、1回何か質問できたくらいで、その時も「なんだ若僧!」という目つきでにらまれ、大した話もできなかったのであるが、それはまた別の機会にでも。

戦場のメリークリスマス [DVD]

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