ドロシー・マローン『三つ数えろ』(ハワード・ホークス監督)

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ボギーがぶらり立ち寄る書店に待ち受ける、一見清楚、ところが実体はエロエロモード爆発なネェちゃん。いきなりドアにフードを下ろし、メガネ外して、婉然と笑うその艶姿! 
ハリウッドウラ名物、メガネ美女のハシリにして理想形。とにかく本作、「エエ場面だけ撮ったろ思ったねん!」とホークス自身もあっさり告白、何かっつぅと美女がビジョビジョ(<意味不明)ボギーの前に現れて、誘惑しては消えていく、大変正しい究極の娯楽映画。サイコーだぜ、ホークス! これぞ男の夢の映画です。
しかしコレ、展開だけ見てたらタダのポルノでっせ、マジ(笑)単に昔の白黒映画で、女優が脱いだりせぇへんだけや!
あと、オレが大好きなシーン。イライラとタイトスカートの裾を手で撫でさするローレン・バコール。それを見ていたボギー、すかさずツッコミ!
「めくって掻けよ!」
バコール言われるままに、スカートを膝上までめくっちゃう。まァ、やらしいなぁ(<淀長調)。しかも、ストーリーとは一切関係ない、一見ムダでしかない場面だもんな。
「シナリオではとにかくキャラクターに奉仕すべし」なんてまことしやかに語られる黄金の法則なんてしょせんウソッぱちよ。そんな抽象的な物言いじゃわかんねぇんだよ。ありていに云っちまえば、とにかく「見せ場」をいかにつくれるかどうかが勝負なンよ。やり口はイロイロだが、そういう「見せ方」なんてな、脚本だとか演出の仕方なんざ、しょせん勉強して学べるモンじゃねぇ。<現場>で会得できなきゃ、あとはもはや才能の問題でしかねぇのな。ハッキリ云うけど、ハナシがいくらうまくできてたって、映画としてオモロい画面が描けてなきゃ、いいシャシンなんたぁ云えねぇのよ。TVドラマでも同じだろうけどな。
大丈夫、リクツじゃないんです!