ジョン・ウォーターズ監督『セシル・B ザ・シネマ・ウォーズ』

プレノンアッシュ・ベストコレクション13だとさ(同社配給、たしか宣伝も)。ンなコト、いきなり言われても、ねェ。どう応えたらエエのん? って感じやん、なァ。

「映画がそんなに好きなのか?!」なんていきなり言われてもたじろぐが、好きなものは仕方ない。チラシのこんな名コピーが光る『セシル・B・ザ・シネマ・ウォーズ』は、この春一番の怪作。真の映画を撮るためにはテロも辞さないグループがスター女優を誘拐、彼女を無理やり仲間に仕立て、看板だけで中身カラッポなハリウッド大作が上映される映画館や撮影現場を襲撃する。映画ファンなら抱腹絶倒必至のシーンが続出、破天荒な展開の中にもカラリと乾いたユーモアが随所で突き抜けていて素晴らしい。*1



……え? 「あなたに映画を愛しているとは言わせない」
……あのさ、ハスミン・シンパの誤、もとい御一党サン方。「われらも吐いたツバは呑まんとけや!」((C)笠原和夫)オレ、↑上記のサイト、開くだけで、ごっつサムいんですわ。つうか、アンタらは映画を愛してるおのれを、それ以上に愛してるとしか思えへんからなァ。インテリの「病」、ってか、「業(ごう)」を感じるつうかさ、ハッキリ言ってキショいんやわ。
ま、しょせんボンクラなオレにゃ関係ないから、エエっていやァもちろんエエのやけど、アホな若いコらだけは、アレらスレてないんやからさ、もぅこれ以上、騙さんといたって欲しいんやわ。映画史的巨匠をまつりあげてエラソーな妄言シンポジウム開いたりさ、ナントカ美学校だので生徒集めたりさ、自分らがいかにおベンキョーしててエラいか、ってのを認めさせたいだけやろって。まさしく、「虎の威を借るケツネ」どもたァ、貴様らのこった。見栄えだけカッコええコトばっかほざいて、結局無意味無価値な言説吐き散らすだけのインテリ乞食どもにはホンマ、飽き飽きしとるんよ、こちとら。
例えばの話が、具体的に名前も出せばやね、カントクでいえば青山真治みたいナンがナンボ出てきよったトコで、日本映画はもちろん、世界の映画界もチートモ良くなりゃァせんのよ。あいつら、正味の話が社会を敵に回す度胸も才覚もあらへんのやさかい。自分が賢いかしこい、エラいえらい言われたいだけ、頭撫でナデして欲しいだけナンやから。せいぜいが狭ッ苦しい業界内部で徒党組んで内ゲバやりたいだけやから。カタつけたらしい話持ち出して悪いけどな、柳下毅一郎とかに喧嘩売ったりするのが関の山なんやて。ヤるコト言うコトが虫ケラ並みに小さすぎるっつぅねん。
大言壮語しとうなったらやな、お前らが尊敬しとるフォードやホークスや小津が、シャシン撮ってない時はナニしとったか、よぅ思い出してみりゃよろしいのや。アホぅ、読書なんざ不粋な真似さらすかァ、遊びにアソびまくっとったっちゅうねん。

「映画監督なんざ、しょせん橋の下で菰をかぶって客ひく女郎だよ」−小津安二郎
「わたしの名前はジョン・フォード。西部劇を撮ってます。(略)こんな茶番やってるヒマなんてない、明日も撮影だ、朝早いんだから寝ようじゃないか」−ジョン・フォード

ホークスは唯一の自伝本も、梅本洋一の出版史に残るクズ翻訳のせいでチョイスできる台詞があらしまへん。ま、本人はハンティングとか車いじりが大好きな野郎で、シャシンなんざただの「稼業」としか思ってなかったらしいでっけどな。
せやせや、かのゴダールも言うてまっせ。

「学生諸君、昔の映画監督たちが、なぜあれほどに偉大な仕事を残せたのか、おわかりですか? 彼らは撮影所勤めのサラリーマンだったからです!

「……大体やねェ、正味の話が、オレみたく、イスラエルのヤクザやフランス政府騙してカネもらって、毎年細々と映画撮らな生きてけへん! みたいなフリーの自転車操業では、しょせん映画ってな商売はやってけへんのです! ま、興行師の映画、メリエスに始まる系譜は今も受け継いどる、とは言えなくもないけど、ぶっちゃけ、こンな根無し草商売、詐欺師と同じですやん! オレもちょっと時代遅く生まれ過ぎましたわ。ってか、トリュフォーのアホと出会ったりしとらんだら、もしかしたらルノワールとかの映画の助監督とかついて、今よりずっとマトモに映画の撮り方とか覚えて、ラクに生きれたハズやのにな〜。あー、ミゾグチやフォードがめっちゃうらやましいわ、マジ! 
ええか、若いコら、アンタらも気ィつけなアカンで! オレのわけわからん映画観て喜んでる場合ちゃうねんで!」
(以上、G体引用部は勝手超訳、下段はただの脚色)


ゴチャゴチャ書いてしまったけど、どうしても映画の勉強した〜い、イイ映画本が読みた〜いってンなら、リュミエール」全巻とハスミンの主要著作を読破するくらいはよろしかろう。ってか、それ読んでおいたりと予備知識があると、『セシルB』がより一層可笑しかったりするわな。でも、マジな話、ホンなぞ読むヒマあったら、身銭きって実地で学ぶコト、それが肝心カナメやないかと。
何度でも書くけどさ、映画なんてしょせん文化でもアートでもないんだから、しょせん興行なんだからよ。それを大層な言葉で語り散らすことの愚をわかってほしいね。鶏は牛刀で裂いても仕方ないってこった。
どうです? コレでもアナタ、まだ映画が好きですか?
オレは正直、わからなくなってきてるよ。


*1:「某実話系雑誌」2001年5月21日号より。他に紹介した作品はテヘラン悪童日記』『アタック・ナンバーハーフ』『2001年宇宙の旅 新世紀特別版』『ハンニバル』『トラフィック』『スターリングラード』『チキンラン。いま見返しても、メチャクチャな取り合わせや、しかし。蛇足ですが、この日は続けて、ギャラクシー・クエストを観ました。愉しい試写2連発でした。