『コールド マウンテン』

実は一昨日行ったのだが、書き漏らしたのでいちおう。
以下、ネタバレはしてませんが、いつもどおりヨタ飛ばしてるだけです。情報を仕入れたくない方は読まないほうがベター。


今年最初のマスコミ試写(呆)当初、行くつもりはなかったのだが、当代最高の美女ニコール・キッドマン美白美肌を、日本最高の映写環境を誇るイマジカで拝めるッ! てな、スケベ心に負けてしまい、のこのこ出向いた次第。先のアカデミー授賞式でのアリソン・クラウス&スティングの主題歌名唱に聴き惚れてしまったのも大きかったんだけど。
で、中身ですが……豪華演技派スター競演、一大ロケーション撮影敢行! てな具合に大風呂敷広げまくってるけど、お話も出来ばえもハッキリ言って、そこらのコンビニで買えそうなハーレクイン・ロマンスでしたな(脱力)。
つうかさ、お嬢様育ちの南部美人って役柄だからか何だか知らねぇが、エロエロ顔で売ってるニコールが、今さらカマトト(死語)ぶったって、こちとらハァハァしないんだってば。いや、脱いでもいますよ。でもよォ、なにやらごにゃごにゃ絡みあってたりしてるだけで、乳もロクに見えねぇでやんの!<ストリップと勘違い
まぁ、顔のアップ等はふんだんなんで、首筋・胸元と、しみひとつなさげな白磁のお肌は堪能できまくり。女ならずとも、あの肌の綺麗さの謎、解明したくもなるってモンじゃないかと。
役者のお芝居では、今作ではレネー・ゼルウィガーがニコールにあっさり勝利。
「おまんさぁも、さっさとおんも出て、畑さ耕すだっぺぇ! お嬢さまだってからってぇ、な〜んもせずにおまんま食えると思っとったらぁ、罰あたるけんねぇ!」てな具合に南部訛り炸裂。コレでオスカー助演女優賞を受賞したわけだが、まぁ、こんだけブスキャラやれば賞くらいあげてもいいでしょう。一部演技があまりにクサすぎて、泉ピン子入っててヤバいけどな。てめえ、ハリウッドからわざわざ都落ちして橋田寿賀子ドラマにでも出たいんか! ってくらい。
え、主演のジュード・郎ですか? 人形ヅラのイケメンなんざ興味ないので次! 
つうかさ、ジュード・郎が敗色濃厚な南軍脱走して、ズタボロみたいになってうるわしの想い女ニコールの元に帰りつくってのが本作のメインストーリーなわけだけど、構成も演出も雑なせいか、全然盛り上がらないんだ、これがまた。「オデュッセイア」に習ったんだかなんだか知らねぇが、みっちゃん道みち、魑魅魍魎なキャラどもが、たまに思い出したように登場するってだけじゃぁな。
ジュードはとにかく影うすし。例によって汗かきデブ男役なフィリップ・シーモア・ホフマンの破戒神父やノータリンレッドネック南部農夫役のジョヴァンニ・リヴィージに見せ場奪われまくり。で、汚ねぇヤロー続出で目が潰れた後、うら若き戦争未亡人ナタリー・ポートマンが、ようやくお口直しに出てきたかと思ったら、これまたヨレヨレで萌えないことおびただし。そらぁLUXのCMも降ろされるっつうねん、てなモンで(<関係なし)。
監督はアンソニー・ミンゲラ。前作『リプリー』あたりがいい例だが、美しい映像にこじゃれた音楽のっけて、癖のある人間ドラマをそれなりにかもしだしてみせるような、小賢しい演出をする監督。ところが、今回はどうにも大味。やる気がなかったのか?
実のトコ、オレはハーレクインだろうが何だろうが、通俗的なドラマ自体が嫌いなわけじゃない。数カットで見せれば足りる場面をダラダラ引き延ばすような、締まりの悪い構成ってモンがどうにもガマンできんのだ。今回は画も全般に平板だったのが痛い。
見どころのひとつと期待した音楽もダメダメ。スコア担当のガブリエル・ヤレド(!)と劇中曲担当のTボーン・バーネットの組み合わせがどうにも違和感があってヘロヘロ。いくらルーツ・ミュージック界きっての才人を起用したところで、要所要所での使い方がわかっていなけりゃしょうがねぇんだって。
たぶん、製作陣の狙いとしては、豪華キャストをブッキング、ちょいと『風と共に去りぬ』風な大河ドラマに、『プライベート・ライアン』以来お約束化した戦場残酷物語をプラス、ついでに『オー・ブラザー』以来流行のルーツ・ミュージックもまぶして、当世風アレンジを加えればオスカー狙いの大作いっちょう上がり! なんてトコだったんだろうと憶測。ところが、しょせんヒット要素を寄せ集めただけの悲しさ、配役といい、映像や音楽のつくりといい、どうにもテキトー、とってつけただけ、結果はただの底抜けメロメロ大作に終わったという次第。
南北戦争を題材にした近作では、アン・リー監督の楽園をくださいは、米国史の暗部を鋭くも的確に描き出した力作だったが、本作はどうしようもない凡作。こんな出来悪い作品がオスカーノミネートされてしまうのに、先行作品の『楽園〜』は見事に黙殺されたってあたり、昨今のアメリカ映画界のダメダメぶりを見る思い。
あ、コレって『アイス・ストーム』と『アメリカン・ビューティー』のケースにも似てるな。高品質なオリジナルよりも、見栄えだけは整った出来の悪い模造品が得てして売れるのが世の現実、映画の世界も右にならえ。かくて歴史は繰り返す。
個人的には★つけるとすれば1.5くらい。しかもこの日は最悪なことに、牛丼喰らいで名高いエセ映画評論家が、目の前に座りやがって、もぅ(……)。こういう得体の知れない輩を見るたび、気力が萎えることおびただしい*1。今年は新作試写なんて、しばらくは行かじ! と改めて決心。映画は身銭きって、映画館で見てナンボのモンです、やっぱ。

*1:数年ぶりに件のサイトの該当箇所を覗いてみた。プレスをテキトーに丸写しして、水野ハルヲ風に稚拙なテーマくっつけてるだけじゃねぇか、てめえ! こんな幼稚園児のお絵描き以下の代物並べて、ライター仕事が続けられると思っているんだから、おめでてぇかぎり。こんなヤツの出入りなんぞも許してるから、いつまでもギョーカイ全体が河原者扱いされるんだな。あのギョーカイに限らず、たしかにこの御時世、どっかでバカにもなれなきゃやっていけねぇ渡世だが、ナニすれば「恥」になるか、ってことだきゃあ心得ておかなきゃいけねぇやな。「おれたちゃな、御法度の裏街道を……(以下略)」