イイものを見せていただきました。

正午に日比谷に出かけ、今年最初(呆)の試写*1に。またまたみやりゅうさんの御厄介になってしまい、恐縮しきり。事情からして、作品名はまだ公表しないほうがいいみたいなんですが、以下私信的に感想など、ひとくさり。
主演のFさんにやられましたね。小柄な身体に宿る枯れた味わい、そのたたずまいの見事さに打ちのめされました。それを真っ向から必死こいて受け止める息子青年も健気さもまたよくて。ただ眺めているだけで時間が過ぎるような名場面が連続しているのに、なぜかナレーションで説明しすぎてしまったり、音楽がややベタに流れてしまったりする箇所はちょっと辛いんですけど、実のところ、そういう個人的な好みなぞ、主演ふたりの熱演の前には吹っ飛ぶという具合ではあって。ささいな弱点を見つけだそうとせずに、素直にイイとこがよかったからイイって言うべきだな、といちいち反省してしまうような、そんないじらしさのある映画。そんなトコにも可笑しくも、監督の性格があらわれてるような。
監督の作風という点でいえば、今回は特に、全体のシーンの流れといい、画面に漂う雰囲気といい、どうにも中国映画はたまた香港映画の父子愛ものといった趣きを感じまして。イケメン青年のアップにナレーションがかぶさったりするトコとか、なぜか恋人が韓国人(ですよね?)モデルだったりするトコとか、どうにもアジア寄りな匂いをぷんぷん感じてしまったり。狙っているのか、ホウ・シャオシェンジョン・ウーが好きという、監督の趣味がわかりやすく出てしまってるだけなのか、興味深いところ。
あとはそうですね、日本はまだまだ山紫水明の国というか、探せば心なごませるイイ風景が一杯あるんじゃないかって希望を持たされたという点でもポイント高い。
フィルムコミッションはうまくハマれば、今後も良作を生む可能性が充分あるんじゃないかと。その意味でも、コレも個人的好みながら、もっと風景をじっくりまったり、ゆったりみっちり、要所でガツーンと見せて勝負して下さる画があってもよかったかなぁ、なんて。
ま、欲張りな希望でしかないんでしょうが、そのへん、もっと画だけで勝負するような強みが出てくれば、良作度はさらにグレードアップした気はします。ある種、イイ意味での「ゆるさ」が監督の持ち味とも思うので、望む方向性が違うという気もするんですけどね。あんまりシネフィル趣味というか、文芸映画然と画面を一部の隙なく構築してしまうと、観客を限定する嫌味なシャシンになってしまう可能性もありますからねぇ。具体的にどの監督どの作品なんてここではあえて申しませんけど(笑)
しかしなにより、中学時代ファンで顔写真付きのしおりを持ってたりした角川映画ヒロイン*2、そして監督作品常連の元野球選手令嬢*3にナマで接近遭遇できたのは、久々に感激で(笑)やっぱ、女優ってイイわ、素敵だわ。
重ねて、感謝感激でございました。

*1:今回はスタッフの方の御厚意により、たまたま見せて頂けたもの。いわゆる「内覧」かどうかは知らず。蛇足ながら、「内覧」の場合は宣伝サイドの許可が出ないかぎりは、見せてもらった作品名は伏せるのが慣習と聞く。というのも、業界の方の一部には、宣伝の方などに新作試写を誰よりも早く見せるよう、強談判する向きもあるかららしい。なるほど、そんなこったから、媒体なぞ持たぬのにいやしくも評論家だのを名乗る、牛丼喰らいだのどっかの関連職種会社を定年退職後でヒマもてあます爺どもだの、常人とは思えぬ<試写族>なる気色悪い種族がはびこるのであろう。ま、外部の人間たるオレには関係ないし、知ったこっちゃないんだが。

*2:予想していたより小柄で、かつすっきりしたムードが漂ってて、お美しかったです。実年齢、絶対信じられないです。

*3:こちらは思っていたより背が高いのに、やたらスリムなのにもビックリ。でも口を開くと、チャキチャキした関西弁でサバけてて素敵。最高にいい意味で、イケてるおネェちゃんだなぁと。