「うた」の真髄。

弾き詠み草

弾き詠み草

一聴するや、背筋にぞくり、とくる凄艶たる声。絶妙の間合いをもって奏でられる三味線の音にまたどきり、とさせられ。往年の邦画を漁り見たおかげで、山田五十鈴はじめ多くの女優*1が演じる三味線のうたなどは同世代の人間に比べれば見てきたつもりだが、やはりホンモノは違う、と認識させられた。何をおいても、この声だけは一聴に値しよう。
id:huraibouさんのところ(http://d.hatena.ne.jp/huraibou/20051129/p1)で知って、昨日早速購入。収録時間は30分に満たないが、こめられた情念というか、密度の濃さゆえに聴き通したらぐったりしたくらい。
1979年、中村とうようプロデュース。YMOを結成した当時の坂本龍一が起用され、ラストの大曲でブライアン・イーノあたりを彷佛とさせる無国籍なシンセサイザーを聴かせてくれる。「チベット風にしてほしい」なんて注文だったそうな。アレ、中村とうようってチベット音楽って嫌いじゃなかったっけ? いずれにせよ、コラム等での問題発言の多さには辟易させられるものの、中村とうよう御大、「ミュージック・マガジン」を拠点に、影に日向に邦楽界に与えた影響と功績は大きい……なんて再認識させられる一作。
桃山晴衣公式サイト→http://www009.upp.so-net.ne.jp/to_genkyo/index.htm
ちなみに、オレは中高生の頃は渋谷陽一の「ロッキンオン」ばかり読んでたアホロック少年だったが、よく考えたら、「ロッキンオン」ってアーティストをインスパイアするような業績は一切為してないよな。音楽ジャーナリズムを悪くしたのって、やっぱり渋谷陽一なのかなぁ。。。


*1:女優ならば一通りは身につけておくべき、たしなみのひとつであったとも聞く。