『新・座頭市 II』第15話「女の鈴が哭いた」

蟹江敬三ベストバウト! な一編かも。爪楊枝くわえたアニィは『御用牙 かみそり半蔵地獄責め』でも出てたり、勝プロではおなじみw

原作:子母沢寛
脚本:山田隆之
監督:井上昭
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
おりん:佐藤オリエ
菊次:高橋長英
寅吉:蟹江敬三
赤牛の八右衛門:汐路章
辰:山本一郎
ほか

アングルが奇妙すぎたりとややクセがあるが、カツシンとは気が合ったという異才・井上昭。御年84にしてまだ現役監督。スカパーのカツシン番組でも元気な姿を見せていた。野球帽かぶって若々しすぎ、まだせいぜい60代後半な風情で驚いた。

画面の前と奥の人物がピン送りでフォローされるショットが繰り返される凝った映像はいかにも井上監督らしい趣味。三味線ではなく胡弓の調べが物悲しく鳴り響く音響と相まって、印象に残る。心ならずも行く先々で人々を不幸の道連れにもしてしまう座頭市。救いがあるようでない、苦い結末。井上作品では最高作かもと思えるが、御本人はもっと好きなことがやれた回のほうがお好みな談話もされている様子。
「幸せってな、あるもんなんだなぁ…」と見えぬ目で両の掌を見つめるカツシンも名演。地味な回だけど、覚えておきたいエピソードかも。