『新・座頭市 III』第25話「虹の旅」


原作:子母沢寛
脚本:勅使河原宏
監督:勅使河原宏
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
かおる:岩崎加根子
喜平:井川比佐志
縫:杣山久美
兼光八郎:清水紘治
越前屋惣右衛門:中村鴈治郎
ほか



越前福井の城下。藩主の愛妾かおる(岩崎加根子)が、母の七回忌に、腰元の縫(杣山久美)を連れ、生家の紙問屋「越前屋」に里帰りした。十八歳でお城に女中奉公に上がったかおるに、間もなく藩主のお手がつき、福井藩御用達としての現在の「越前屋」の栄華も、ひとえに娘の玉の輿のたまものである。父惣右衛門(中村鴈治郎)は、かおるをそれこそ下へも置かぬていにもてなした。座頭市勝新太郎)がかおるの療治に呼ばれた。愛妾とは言いながら、規定に従い三十歳で否応なしに褥(しとね)下りをさせられ、女盛りに孤閨を余儀なくされるかおるは、市のもみ上手に、愛欲を呼びさまされた。欲求不満のろうたけた年増女の媚態は、市の好き心をそそった。隣室で市とかおるの情事のうめき声に聞き耳を立てる縫の目が光った。縫は、福井藩支藩大聖寺藩士兼光八郎(清水紘治)の妹だった。八郎は同士と倒幕のために脱藩した。浪士たちは闘争資金が必要だった。縫はかおるの不貞を兄に書き送った。八郎らはそれをたねに「越前屋」を脅迫、千両をゆすり取った。市は浪士たちを殺し千両を取り返す。だが、「越前屋」は秘密を知る市を亡き者にせんとはかった。そして…。