高峰秀子『あらくれ』(成瀬巳喜男監督)

「ね、ね、ちょっと奥さん、旦那、あの体格だとアッチのほうもすごいんじゃないのォ!」なんて云ってくるおせっかいなバカ女に、高峰秀子がフッと一瞬やらしい笑み浮かべて、答えるセリフ。
夫婦もの十八番の成瀬巳喜男、いかな名匠だろうと描くコトはメチャメチャやらしい世界ですのや、正味の話が。小津安二郎もそうだけどね。
小津にしてからが、遺作秋刀魚の味とかになると、もぅ露骨だもん。いかにも朴念仁風な笠智衆ですら、若いヨメさんもらった親友の北竜二に酒席とはいえ、いきなり、

笠「お前、服んでるのか、アレ?」(粉薬を服む仕種)
北「いや、オレは服んどらん。…必要ないんだ、そんなのは(にやり)」
中村伸郎「昼はキレイ好き、夜はすこぶる汚な好き、か。あ〜やだやだ」

……おぃおぃ、昭和の時代にすでにバイアグラネタかよ! 早い、はやすぎるッ! 回春ッ! 回る春ッって感じ<漢字、読んでるだけやん
ちなみに『あらくれ』の“夜がフツーじゃない”旦那役、名優・加東大介は『秋刀魚の味』にも笠智衆の海軍時代の元部下役で登場。

(軍艦マーチ。♪ちゃんちゃんちゃっちゃかちゃかちゃっちゃ、ちゃちゃちゃちゃ!)
「『本日は天気晴朗なれども波高し』ッ! ねェ、艦長もやってくださいよ! ねェッ!」from小津安二郎秋刀魚の味

いやぁ、映画って、ホント、イイもんですねェ!<…例が悪すぎじゃないか?
どやねン? こんなやらしい世界がほんまモンのシャシンってもんやがな。小難しいリクツや言葉でいくら語ったかて、ほんまもんのオモロさが伝わるわけなぞ、どだい、あらしまへんのや。そのへん、わかってンか〜>インテリシネフィル? 人の浮世でうごめく「生」が、あないにキレイってか世離れした言葉で語れるかッ、ってぇのや。学生さんや大学院の研究生さんも、いくらそれも「商売」だからって、あんまし世間からズレまくったコト書いたり云うたりせえへんほうが絶対エエでぇ〜。仲間内で盛り上がる言葉使ってシャシン語っても、世間に出したら、何の効果もあらへんからな。余計なお世話やけどな、嫌味として云うといたるわ。しかしま、オレも、毎日こんないやげなネタばっか毎日書けるな、ほんまに、エエこれしかし!