CHAR@『ワン モア タイム』(ザ・ゴールデン・カップスに対するコメントから)

横浜・本牧が生んだ伝説のバンド、ザ・ゴールデン・カップス結成40周年(!)を記念するドキュメンタリー・フィルム、『ワン モア タイム』をイマジカ第一試写室にて本日見参。関係者にお世話になっている方がおり、その伝手で観られたのであった。ありがとうございます!>みやりゅうさん
題名はチャーのコメントで印象に残ったフレーズ。激動の60年代末期、ベトナム戦争の影響をモロに受けてたハマの「アメリカ」地区に咲いた時代の徒花のひとつ、それがザ・ゴールデン・カップスだったわけだが、このフレーズ、不良系ロックバンド、いやロックそのものにあてはまる「定義」だよなと。
で、中身なんだが、「A面」/「B面」と冠して、ドキュメンタリーとライヴの二部構成。ドキュメンタリーは主要メンバー5人を軸に、彼らをよく知る地元関係者の証言、プラス、カップスと共にあの時代を生きた著名人のコメントを全面フィーチャー、不良ロックバンドとしてのカップスの偉大さが大いに語られる。
製作は『Shall We ダンス?』『ウォーターボーイズ』のアルタミラピクチャーズと完全映画畑のチームのせいかどうか、さほどコアに音楽面に深入りせず、当時の記録映像もふんだんに使って、60年代末期、激動のあの時代の熱気のただ中からカップスが生まれた…といった具合の構成になっているのがミソ。
著名人の顔触れがすごい。ビートたけし内田裕也ショーケンムッシュかまやつ土屋昌巳ジョー山中柳ジョージ鈴木ヒロミツ矢野顕子横山剣、CHAR、そして忌野清志郎。多忙繁多のなかを塗って短時間で取材されてるので、場所が楽屋だったり仕事場だったり、はてはショーケンみたく飲み屋で思いっきり目が据わってたりするが、それがまた可笑しく。こういう「LEON」(<雑誌のほうな、一応)を地で行くオヤジたちが若き日にバリバリ現役だったバンドだもん、そりゃ地力からしてちがうよな。
マニアにはよく知られていようが、とにかくカップスは悪たれバンドで取り巻きもヤバかった、というネタがふんだん、各所で笑わせてもらえる。
特に加部さん、今もヤバいです。ゆえにカッコよすぎではあるんだけど、ハッキリ言ってコワい。飲み会のシーンで一瞬映る、談笑してる相手、アノ近田春夫がマジ引きしてるンだもん。
ドキュメンタリー中に登場する、元友人の一言。

「あいつはヤク中ですから。ボンドはやっちゃダメだよ〜、若い人。ボンドはイっちゃうよぉ〜いまボクは牧師やってますけどね、ハワイで」

おぃおぃ…。


B面の40周年記念、再結成ライヴは5.1ch、轟音と白熱の迫力で押しまくり。いやぁ、このオッサンら、いくつになっても、ほんまもんのワルや、不良やわ。もともと生まれはボンボン、今も生活にさほど不安はないらしいんで、よけいワルぶりに拍車がかかり、って感じ。
演奏面ではいまだ完全に現役組なミッキー吉野(10代デビュー当時の映像とほとんど姿形変わらず<爆)とルイズルイス加部がノリノリ、ブィブィいわせてて拍手モン。主役はギターガンガン弾きまくりのエディ潘で、リキ入れて弦かき鳴らしまくってて、シビれる。現・中華料理屋社長(生家)とは思えない。かつては美男子遊び人、今なおスケコマシ(?)極道路線なマモル・マヌーがセットで定位置座ってるのに全然ドラム叩いてなかったり(笑)、リーダーのデイヴ平尾が少々ロれったりしてるけど、それもしっかり「味」になってて。オープニングのザ・バンド「The Weight」、クライマックスのヴァン・モリソン「Gloria」絶唱と、渋い洋楽カヴァーメインで押し切るセットリストも感涙モンです。
GS系や60年代音楽ファンならずとも、熱かったあの時代の一端に触れられるという意味では、一見の価値アリアリなドキュメンタリーフィルム。興味ある方は御一見を。
あ、一言だけ僭越ながら要望&意見なぞ。コレ、音楽ライター、特に湯浅学センセイあたりに絶対見てもらうべきじゃないかと。コメントもらえたら、しめたモンでしょう。
映画畑のコア系ライターなんぞに見せてもしょうがないんじゃないかな?*1。まずGS自体がわからんだろうし、きちッと語れもしなけりゃ、マトモに紹介ができる御仁もおりますまい。作品を確実に紹介してもらえる方面にだけ見てもらえばよろしいんでないの? と。構成とか映像面でしょうもないケチつけるだけのヤツは、ただのイヤなヤツですからほっときましょう(<どうせロクな媒体もってないし)


*1:てめえのコト棚に上げてますが、なんつっても、もはや在野のボンクライターですからして。