ブルース・コバーン

 BGMはブルース・コバーンの「Stealing Fire」(84年)。テロリスト少年の激情を歌い上げたと伝え聞く名曲「If I Had a Rocket Launcher」はいつ聴いても涙が出るぜ。

 カナダ出身の硬派ミュージシャン、コバーンを知ったのは不勉強ながら97年発表のアルバム「ナイト・トレイン」から。「ミュージックマガジン」連載の<マーク・ラパポートのじゃずじゃ!>でマークさんが絶賛していたのを読んで、ヴァージンメガストアで試聴したら、出だし5秒で即気に入り(<愛聴するアーティストのアルバムは大抵出だし一瞬でキマるもんで)、以来、愚生の尊敬するアーティストのひとりになってしまった。

 勤勉なタチの方なんで作品数が多く、恥ずかしながら初期、70年代の弾き語り系フォークをやってた頃のモノはほとんど聴いてないんだが、80年代以降、スティックやエレドラをバックに、ギターをガンガン弾きまくって、「If I Had a Rocket Launcher」みたいな良質なプロテストソングを歌いだして以降の作品は折に触れて買い集めるようになった。中古で買ってしまうことが多いが、ホントはコバーン先生に印税が入るように、正規のルートで定価で買うべきなんだろうな、ごめんなさい。

 「ナイト・トレイン」、次作「ブレックファスト・イン・ニューオーリンズ、ディナー・イン・ティンバクトゥ」(99)は内省的というか、音のつくりが繊細かつ奥ゆかしいので、日中は聴いたことがない。つうか、音的に合わないから聴けない(大雪が降って閉じ込められたりした状態なら似合うかもしれないが、東京の住宅街でそれはあり得ない)。そういう事情で愚生にとってコバーン作品はしばらく「夜の伴侶」だったんだが、80年代のアルバムはメッセージこそ過激なモノが多いが、音的には比較的ポップで聴きやすく、なにより日中に聴いてもハマるのがイイ。まぁホントはじっくり歌詞カードでも眺めながら、じっくり聴き込むとより感動的なんだが、たいていはMacに向かって作業しながら聴いている。

 コバーンの曲は夜聴くのがふさわしい、と書いたが、なにより冬に聴くとダントツでハマる。たしかに80年代のアルバムは暑い盛りに聴いても違和感ないが、やっぱ秋風吹き出して涼しくなりだすお彼岸以降、その真価が味わえるような気がする。そんなわけで、今年もブルース・コバーンの季節がもうすぐ目の前にやってきたのでありました。