夏の終わりの一枚<その2>ブルース・コバーン+ダップ・セオリー

いきなり涼しくなったので、毎年秋口からヘビロになるブルース・コバーン聴きまくりです。
まずは89年8月の公演収録の「Live」。一昨年一斉に出たリマスター盤なんで音質も素晴らしく、精緻きわまりないギターが堪能できまくり。バックはスティック(チャップマン・スティックボード)とドラムのみ、しかれどもトリオ編成とは思えない厚みある音。このアルバムで聴けるファーガス・ジェミソン・マーシュのスティックワークは、スティックというとトニー・レヴィンしか知らない、オレみたくプログレ馬鹿も瞠目ものの凄さ。
北米屈指の活動家ミュージシャンでもあるコバーン様、帝国主義批判のプロテストソング連発しながら、シメは意外にも、モンティ・パイソンのあの名曲「Always LooK on the Bright Side of Life(人生明るい面見なアカン!)」。ユーモアだけは忘れないセンスがイイ。
ま、一番のクライマックスはチベット問題を唄った「Tibetan Side of Town」、そして発表当時スマッシュヒットした有名曲「If I Had a Rocket Launcher」ですけどね。
そのブルース・コバーンがゲスト参加したダップ・セオリー(Dapp Theory)なるユニットの「Y'All Just Don't Know」(録音は01年)も、硬軟趣向に富んだ音づかいがなかなか素敵な東海岸系ジャズ。アンディ・ミルンのこまやかなフレーズが光るピアノ&キーボード、リック・ブラウンのぶぃぶぃベース(たぶん6弦)、ショーン・リックマンの手数多めなせっつきドラム&ラップ・ボーカルに、グレゴワール・マレの控えめなハーモニカが落ち着いた味わいを追加。最近流行りのJAM系バンドっぽくもあるが、どっちかつうと古風、80年代あたりの良質なフュージョン色を思い出させたり。
2枚とも、ほどよい熱さとクールさのバランスが見事、まさに、季節がわりのこの時期にはピッタリのアルバムだね。あとでリストに入れておきます。