Vol.1「ハワード・ヒューズという名のアメリカンドリーム」

ロケッティア [DVD]

ロケッティア [DVD]

1.『タッカー』フランシス・フォード・コッポラ
2.『ロケッティアジョー・ジョンストン
3.『メルビンとハワード』ジョナサン・デミ

ハワード・ヒューズ。大富豪にしてハリウッドのタイクーン、そして陸海空問わないスピード狂という、アメリカが生んだいまだ謎だらけの怪人。映画狂がこうじて『地獄の天使』なる戦闘機映画を監督したが、スタントを自らかって出て墜落、ひどく顔面を傷つけてからは、世間の表舞台には出ず、隠遁生活を送った。もっとも、ハリウッドでの乱行の噂はひきもきらず、小柄で黒髪、胸の豊かな美人女優に手を出し続けた。機械マニアで芸術的才能にも恵まれており、愛人の女優ジーン・ハーローのために乳房が型くずれしないブラジャーまでデザインしてみせた。死亡時の様子は正確には伝わっていない。自家用ジェット機で好きな映画を見ながら死んだという……。
上記3本はまさにアメリカンドリームの体現者たるヒューズが、主人公の夢を実現する助っ人として登場する作品(フィクションは2.のみ)。最晩年、ヒューズは偶然出会って意気投合した牛乳配達屋の男を遺産相続人に指定し、死後、全米でセンセーションを巻き起こした。その実話の映画化が『メルビンとハワード』。成功者と落伍者が奏でるアメリカンドリームというバラード。アカデミー賞にもノミネートされた傑作だが、日本未公開なのが残念。
マーティン・スコセッシ最新作『アビエイター』を御覧になる前に、この3本、ぜひ一見。