カート・ヴォネガット・ジュニア「スローターハウス5」(ハヤカワ文庫、伊藤典夫訳)

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公私共にやりきれない事件ばかり続くと、思い出すフレーズがある。

これは失敗作である。そうなることは最初からわかっていたのだ。なぜなら作者は塩の柱なのだから。それは、こう始まる−
聞きたまえ−
ビリー・ピルグリムは時間のなかに解き放たれた。
そして、こう終わる−
プーティーウィッ?

なんやねん、コレ? 意味わからんっちゅうねん!
 そういうものだ
質問してるのはオレやで? 説明してみいや!
 そういうものだ
おどれ、ナニ聞いても同じフレーズで返すだけやろ?
 そういうものだ
それが、トラルファマドール星人というものだ。 そういうものだ
原作はもちろん名作なワケだが、作品世界を映画ならではのカットバックでそつなく構成した故ジョージ・ロイ・ヒル監督による映画も見事だった。音楽はグレン・グールドというのも素晴らしいオマケだった。
 そういうものだ