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、、、またひとり、真にフィルムというものの原理/生理を体得していた根っからのカツドウヤが世を去った。。。*1合掌。
個人的にはやや「才気」が突っ走りすぎなところがほんのちょい苦手で、個々の作品自体は楽しめても、全作チェックしようとまではついぞ思わずに過ごしてきてしまった。しかし、リメイク版『犬神家の一族』もそれなりのクオリティに仕上げたり、いわゆる「晩節を汚す」ほどの仕事は残していない印象はあって、そのへん、実は(作風も立ち位置も違いすぎるので比較してもしょうがないけど)クロサワ、岡本喜八や鈴木清順らよりもある意味、偉大な才能だったのでは、とも。*2
終生現場主義で生涯現役、邦画界の顔と言ってもさしつかえない、映画監督らしい映画監督であった。あくまでも映画監督であり、映画作家と言う呼び名は合わない気がする。編集と映像の美学を誰よりもわかりやすく追求し、映画館だけでなくお茶の間でも楽しめるエンタテインメントに仕上げることができる希有な才能の持ち主であった。
というか、映画マニアの評価は知らず、クロサワ亡き後、世間で映画界の巨匠と言えば崑さんに尽きたんだろうと。映画界よりもTV・CM・アニメ等幅広い映像業界人から、戦後最もリスペクトされた人かもしれない。そういう意味でも個人的には最高傑作は実は映画ではなくTV時代劇の金字塔、『木枯し紋次郎』だったと思っている。特にオープニング・クレジット。アレこそ崑さん映画の集大成では? エヴァンゲリオンにまで影響を与えた明朝体の字幕挿入のセンス、永遠に古びない。
劇場映画に絞れば、思い入れあるのはもちろんオリジナルの『犬神家の一族』だけれども。宮川一夫キャメラマン御大による「銀残し」手法で知られる『おとうと』はハズせないし、伊藤雄之助が愉快すぎる『プーサン』も可笑しかったけど、今後も一生、何度も見てしまうのが確実なのは『犬神家』だなぁ。。。
それにしても、ロイ・シャイダーに続いて崑さんまで。80年代前後に映画ファンになった人になじみ深い映画人が世を去るようになってきたのか、、、いや、崑さんは戦後の大監督だけど、オレ的には最初は「角川映画のカントク」というイメージだったので。金田一耕助シリーズのおかげで、そういう印象の方も多いんじゃないでしょうか?
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、、、ついでながら、以前出された森遊机某なる方のインタビュー本「市川崑の映画たち」*3はマニアの方の間では評価が低いと聞く。オレも読みましたが、せっかくカントク本人にお会いして長時間貴重な時間を過ごさせてもらったハズなのに、ただのファン根性だけ丸出しで、自分の思い入れだの感想だのだけをくっちゃべってるだけだから始末に負えない。カントクは森某の言うことに延々とただうなずいてるだけ(苦笑)バッカじゃなかろか、アレ? 崑さんにさして思い入れのない自分ですらイライラする内容だった。映画監督研究本として使えないブツの典型。つうか、アレ読んでなかったらカントクの映画、マジでもっと見るようになったと思う(汗)
なので、これから市川崑の映画を見よう、研究しようという方にも、アレは買わないことをオススメしたい。一読も要らないくらいの薄〜い中身に呆れまっせ! 完全な素人のファンならともかく、ご立派な企業にお勤めの大層な映像業界人であるハズなのに、あのていたらく、、、というのが悲しいのである。ジャーナリストじゃないにせよ、少しでも貴重な証言を聞き出そう、という最低限の気概くらいはもって臨んでもらわないと。巨匠をただのイエスマンにするなんざかえって失礼ざんしょ? つうか、貴重な証言は自分が聞くだけであえて掲載しなかったならもっと最悪だけど、そこまでタチが悪い方でないことを祈る(汗)
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追記。ハスミンが本日付の朝日新聞文化欄でコメントしてました。黒澤明死去の際よりもさらに政治家度アップというか(苦笑)、ソツがなさすぎな当たり障りのない評価をしててなんだかなぁ、と。アンタがほとんど無視を決め込んだ人だからシネフィルの間で評価が低くなってるんじゃんよ、ったく*4。岡本喜八あたりも同様なんだよなぁ。。。