☆ジーン・セバーグ(1938〜1979)

女優。巨匠オットー・プレミンジャーに見い出され、『ジャンヌ・ダルク』(57)でデビュー。翌年、『悲しみよこんにちは』(58)でバッサリ切ったボーイッシュなヘアスタイル“セシール・カット”で一世を風靡する。そして、ヌーヴェル・ヴァーグの代名詞作『勝手にしやがれ』(60)のヒロインに起用され、全世界に知られることに。順風満帆すぎる女優生活だったが、私生活では早すぎた結婚生活に失敗、その後、異色の作家・監督ロマン・ギャリと結婚、しばらく安定した生活を送るものの、夫との仕事上の行き違いから精神的に破綻、抗鬱剤を常用するようになる。
68年、アメリカに戻った彼女は、折から吹き荒れる公民権運動に共鳴、黒人活動家<ブラック・パンサー>の幹部と交際をはじめ、自身も支援者となる。ところが、このことでFBI当局にマークされ、公私ともども、中傷工作と脅迫を受け、ますます精神的に追い詰められた。
その後、撮影先のメキシコで知り合った革命活動家との情事で妊娠するが流産。黒人過激派の子供をみごもったと揶揄されていた彼女は、胎児の遺体をガラスケースに入れて、記者会見に持ち込んだりした。
もはや彼女は常軌を逸していた。その後、酒と薬物と行きずりの情事に溺れる乱れた生活を続け、精神療養所へ入退院を繰り返す。
1979年、40歳になり、アルジェリア人俳優と結婚するが、日夜喧嘩のあげく、彼女は毛布ひとつを持って失踪。夫が失踪届けを出して9日後、自宅からわずか数百メートルしか離れていない、放置車で遺体が発見された。死体の傍らには睡眠薬の空き瓶と最初の結婚でもうけた息子への遺書があった。