等々力渓谷、祐天寺、上・下目黒

陽気にさそわれて、本日も恒例のバカ歩きを決行。今まで全く足を伸ばしたことがなかった東急沿線に行くことにする。
まずは等々力渓谷へ。23区内唯一の渓谷との触れ込みだが、かつては知らず、コンクリートで護岸されきった川なぞ、とてもとても、渓谷とは呼べまい。しかも、生活廃水が流れ込んでいるせいで、ドブ川の臭いがたちこめているし。なんとかならんのかねぇ? たしかに、高台に谷あいが深く切れ込み、こんもりした樹木のなかにいると、都内とは一瞬思えない雰囲気もあったが、いかんせん川自体に風情がなさすぎる。
途中、大岡山古墳にも足を伸ばした。予想よりも大きな小山だったが、眺望的にはいまいち。渓谷に引き返し、等々力不動などを見て回ったが、さして興も湧かずじまい。
日が高かったのでもう1か所、かねて行く予定にしていた祐天寺へ。かつて同級生が住んでいたので一度来たことがあるが、その友人宅は一体どのへんにあったかも、駅前の様子もまるで忘却の彼方。
例によって朝日新聞連載の「江戸の坂」どおりに歩く。謡坂半兵衛坂と回り、蛇崩緑道をたどって稲荷坂へ。いかにも昔ながらの町並みといかにも山の手といった風情の閑静な住宅街が隣接。少しばかり「タカビー」な空気も若干たちこめていそうだが、住むには悪くない街かもしれぬ。駅前の祐天寺名物ナイアガラカレーなる店にひかれたが、夕刻、自宅でカレーをつくる予定だったのであきらめ、閑静な住宅街の小道をてくてく、けこぼ坂上へ出る。名前のついたいわれある坂は限られているようだが、そこに至るまで住宅の間の各所に坂道がごろごろ、顔をのぞかせて興をそそる。
駒沢通りを渡り、さらに高級(高値?)感がちょい増した住宅街を抜ける。コーポ中目黒なる高級マンションの脇がなべころ坂。ゆるやかに曲がった坂らしい坂で、山野勝氏の書くとおり、「心憎いほど都会的で、安らぎの聖域」な雰囲気だったが、すでに足指が痛くなっていたので、一度下りまた登るのはあきらめた。坂上には公園があり、ここにも庚申塚、しばらく先の十七が坂馬喰坂坂上にも庚申塔があった。往時、庚申道として開かれた道と案内板で知り、なるほどと納得。十七が坂を下り登ってみてから、馬喰坂を降りる。長泉院なる寺がやっているらしい、現代美術が展示された一角もあり、散歩するには絶好の場所のようだ。山手通りを渡り、さらに進み、目黒川も渡り、茶屋坂へ。それまで遠目に見ていた恵比須ガーデンプレイスも目の前となり、ほどなく、恵比寿駅にたどりついた。