『新・座頭市 III』第12話「虹のかけ橋」


原作:子母沢寛
脚本:佐藤繁子
監督:森一生
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
おすま:中村玉緒
笹子の又七:蟹江敬三
おりつ:荒井玉青
身延の勘造:今井健二
半次:有川正治
寅松:新郷隆
やり手婆:木下サヨ子
ほか



仁義渡世のしがらみでしつこく笹子の又七(蟹江敬三)に追われる座頭市勝新太郎)は、道中、ひょうんなことからおすま(中村玉緒)という旅の女と道連れになった。東海道藤沢宿の海産物問屋のおかみのおすまは、幼時誘拐された娘“おかよ”を捜していた。死んだものとあきらめていたら風のたよりに生きていると聞き、矢も盾もたまらず旅に出たのだった。婿養子の夫は商売一途で面白味がなく、満たされぬ思いが、おすまを旅への衝動に駆りたてたのかもしれない。市はおすまの身の上に同情した。女嫌いで親切で、おすまにとって市はこの上なく安全な道連れだった。市とおすまは、旅宿「しの屋」に宿を取った。一方、又七は、同じ宿場の身延の勘造(今井健二)一家に草鞋を脱ぐ。身延一家は遊女屋「玉木屋」を経営していた。「玉木屋」におりつ(荒井玉青)という少女が売られてきた。十三歳、まだほんの子供だ。おすまが生別した娘を捜していると聞き、又七は一人ほくそ笑む。おりつと同じ年かっこうだ。尋常な手段では市にはとても太刀打ちできない。勘造と結託する又七は、おりつを“おかよ”に仕立てた。むごい折檻に、おりつは言うことを聞くより仕方がなかった。実の娘に客を取らせたくなければ、市を斬る片棒を担げとそそのかされ、子ゆえの闇に、心の中で手を合わせながらおすまは心を鬼にした。そして…。