『新・座頭市 II』第15話「女の鈴が哭いた」


原作:子母沢寛
脚本:山田隆之
監督:井上昭
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
おりん:佐藤オリエ
菊次:高橋長英
寅吉:蟹江敬三
赤牛の八右衛門:汐路章
辰:山本一郎
ほか

ヘビのような執拗な目明し寅吉(蟹江敬三)に追われる座頭市勝新太郎)は、大道芸人の菊次(高橋長英)・おりん(佐藤オリエ)夫婦と道連れになった。菊次は盲目だ。おりんが標的になり菊次が出刃包丁を打つのである。少しでも手元が狂うとおりんの命はない。よっぽど夫婦の息が合っていないとできない危険な芸だった。芸を離れてもおりんはすべてに行き届いていた。同じ盲目の身ながら、けなげなよき半身のいる菊次が、市にはうらやましかった。
 寅吉がやくざ赤牛の八右衛門(汐路章)一家に草鞋を脱いだ。八右衛門がおりんの美貌に目をつけた。あわやという寸前おりんは市に助けられた。それでなくても市は赤牛一家にも八つ裂きにしても飽き足らぬ相手だ。寅吉は菊次の耳におりんが市と不貞を働いていると吹き込んだ。おりんを熱愛していればこそ、菊次の心にめらめらと嫉妬の炎が燃えさかった。
 潔白を証明したければ市の首で鈴を振れと、菊次はおりんを責めたてた。鈴を合図に百発百中の菊次の手練の出刃が飛ぶのだ!