原作:子母沢寛
脚本:星川清司、岩元南
監督:太田昭和
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ
座頭市:勝新太郎
おぬい:浜木綿子
矢切虫太郎:若林豪
三田村敬介:藤村有弘
赤牛の大八:梅津栄
亥之助:勝村淳
豚松:広瀬義宣
禿寅:諸木淳郎
千石屋鮫五郎:深江章喜
ほか
入漁権をめぐってやくざ千石屋鮫五郎(深江章喜)一家と赤牛の大八(梅津栄)一家がいがみ合うある港町。争いの原因は他にもあった。居酒屋のおかみおぬい(浜木綿子)である。
ひなにはまれな渋皮のむけた粋な大年増のおぬいに、柄にもなく鮫五郎も大八もぞっこん。もちろん江戸育ちで利かぬ気のおぬいにかかっては、いつも散々なていらくの二人であった。子分の手前もあるのにしまらないことおびただしい。
座頭市(勝新太郎)は赤牛一家に用心棒として雇われた。対抗上、千石屋一家は風来坊の浪人矢切虫太郎(若林豪)を雇う。酒も女も大好きでよく趣味の合う市と矢切は、おぬいの店ですっかり意気投合、二人の間には敵味方も忘れて男同士の奇妙な友情が芽生えた。そんな時、八州役人三田村敬介(藤村有弘)が宿場に見回りにやってきた。千石屋一家は三田村の買収に必死。おぬいは慌てた。それでなくとも千石屋一家のほうが赤牛一家よりも優勢なのだ。そこへ三田村の息がかかればどうなるか。赤牛一家はいっぺんにつぶれてしまう。そうなれば宿場は闇だ。
ダニのような連中でも、意地がどうのこうの、男が立つの立たないのと、勝手に対立してくれているから、かえって宿場の平和が保たれているのだ。断じて千石屋一家の独裁を許してはならぬ。おぬいは得意の色仕掛けで三田村を宿場から追い出してしまう。怒った千石屋はおぬいを拉致しようとした。市が仲裁に入った。交換条件として市が千石屋一家に寝返ることでケリがついた。
おぬいはまた慌てた。濃艶なおぬいのえん然たる流し目に、女に目のない矢切はイチコロ。乗せられているのを承知で、赤牛一家に寝返ったから、話はいやが上にもややこしくなってきた…。