『新・座頭市 I』第19話「越後から来た娘」

原作:子母沢寛
脚本:久貴千賀子、下飯坂菊馬
監督:黒田義之
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
おさよ:ジュディ・オング
吾市:火野正平
おもん:楠田薫
柳田浩之進:岸田森
川野治助:出水憲司
伝馬の権六:中台祥浩
勘太:川浪公次郎
友造:花岡秀
久助:美鷹健児
ほか


越後のある村。打ち続く凶作に加えて父が病気で倒れ、農民の娘おさよ(ジュディ・オング)は、家の窮状を救うために、庄屋に妾奉公に上る決心をした。おさよには、好色な老人のなぐさみものになる前に、きれいなからだで一目会っておきたい男がいた。恋人の吾市(火野正平)である。二年前、江戸で一旗上げると村を飛び出したまま、それ以来音信不通になっていた。おさよは、吾市の行方を求めて旅に出る。道中、おさよは座頭市勝新太郎)と道連れになった。市は、けなげなおさよがいじらしかった。
 吾市は、ある宿場で、宿場人足になっていた。やくざの世界にあこがれる吾市は、すぐ格好をつけたがり、喧嘩早く、手のつけられない乱暴者だったが、根は純情な若者だった。吾市を立ち直らせるにはおさよの愛情しかなかった。市は、相思相愛の若い恋人同士が金のために結ばれることができぬ、世の中の不条理に腹が立つ。たかだか十両あれば、おさよは妾奉公をまぬがれるのだ。市はやくざ伝馬の権六(中台祥浩)の賭場に上がった。天の感ずるところとなり市は勝ちまくった。市の差し出す十両の金を、吾市とおさよはありがた涙にくれて、押しいただいた。
 ところが、十両は、豪商「春木屋」から盗難届の出ていた刻印金だった。吾市に強盗の容疑がかかり、関八州取締出役柳田浩之進(岸田森)配下の代官・川野治助(出水憲司)に逮捕される。親切がかえってあだとなり、市は砂をかむ思いだ。実は、金は、猟宮運動の資金として柳田が、悪の道でつながる権六に、二足の草鞋の権利と引き替えに盗ませたものだ。おまけに、権六は好色な柳田の機嫌を取り結ぼうと、おさよに魔手をのばす。あまりの悪どさに市の怒りは一度に爆発した…。