『座頭市物語』第7話「市に鳥がとまった」

きょうらい登場。

原作:子母沢寛
脚本:池田一朗
監督:田中徳三
音楽:富田勲
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
三沢半平:石原裕次郎
伍助:酒井修
角政:山本麟一
島田甚左衛門:名和宏
田中市之進:城所英夫
お松:小林加奈
お加代:志乃原良子
ほか


三沢半平(石原裕次郎)は、ある藩の“鳥見役”である。微禄・軽輩だが、お狩場を見回り、鳥やけものの状態をチェックする役目は、生来の動物好きの半平には、まさに天職であった。そんな半平とふとしたきっかけで知り合った座頭市勝新太郎)は、すっかり意気投合する。聴覚だけが頼りの市には、危険には敏感な防衛本能は発達していても、小鳥やもぐらの話は聞きわけられない。市には、動物と自由に対話のできる半平がうらやましかった。「市、人は斬りたくないのだろう。わしがいれば斬らずにすむかもしれん」。逆恨みや渡世の意地で敵をいっぱい持つ身、万一、迷惑がかかっては、と去りがてに先を急ごうとする市を半平は、なおも旅の同道をうながした。
 さて、家中に、正義派の半平を目の敵にしている者がいる。家老の島田甚左衛門(名和宏)である。藩財政再建大義名分に、狩場のアユとキジを江戸の商人に横流して私腹を肥やそうと企てる島田には、職掌上、軽輩ながら藩主に自由に口のきける半平の存在は脅威だった。島田は、懐刀の武芸指南役田中市之進(城所英夫)を介し、土地の親分角政(山本麟一)に命じて、腕も立つ半平を消すために、十人の殺し屋を集めさせる。成功すればほうびはたんまりとあって、角政も必死。
 半平に座頭市がついていると知り、角政一家はあわてた。だが卑劣な角政は、勝手に座頭市の子分を気取る百姓の青年伍助(酒井修)の、母お松(小林加奈枝)と姉お加代(志乃原良子)を人質に取った。いくら身分は下級でも武士は武士。やくざ一家に踏み込んだとあっては、半平は切腹をまぬがれない。伍助にしっかりと口止めすると、市は単身角政一家に乗り込んだ。そして…。