笠原和夫『実録・共産党』

hibiky2005-10-11

「こいつら、評議会の渡政は、そこらのマルクスボーイとは違うんだ、喧嘩の仕方を教えてやろうか!」
凄まじい渡政*1の気勢に立ち往生の不良工員たち。

「エンタクシー」最新号に付録でついてた、笠原和夫脚本による未映画化脚本『実録・共産党』より。第1稿があがった段階で東映労働組合の反対で製作中止が決定したせいもあってか、ちょっとドラマとしては練られていない、未完成な感触が否めないが、複雑な組織の人間模様が見事に整理された、いかにも笠原ドラマらしい内容。こういうの読むと、脚本家は構成力が命ではないか、と思ったりする。


enーtaxi 第11号 (ODAIBA MOOK)

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……ところで<はまぞう>よ↑、「エンタクシー」は季刊のムックで、作者は柳美里じゃないぞ? 福田和也坪内祐三リリー・フランキーと共同で責任編集。まぁ、膝詰め談判侃々諤々な打ち合わせまではしてないとは思うけど。編集方針が全然見えない構成で、ユルユルだもん。「編集委員」としたほうが正確だな。


併録の『日本暗殺秘録』*2東映チャンネルや名画座&フィルムセンターでたまに見られる。事実が的確にドラマ化され、情念の交錯と迫真の活劇描写が素晴らしい。『仁義なき戦い』も彷佛とさせる出来映え。
追記。ソフト化もされました。

日本暗殺秘録 [DVD]

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*1:筆者注:渡辺政之輔、日共中央委員長

*2:画像参照。右は千恵蔵、左は千葉チャン。ちっちゃくてスマン。