『鉄砲玉の美学』

学生時代は月参日参したおなじみ名画座、文芸座だが、新装再開後はたぶん行くのはコレでやっとこさ3回目(苦笑)。しかし、本日の上映作品は、今後下手すりゃおそらくビデオ&DVD化、あるいはテレビ放映も無理かもしれぬカルト珍品の登場だ、幸い、時間には余裕もあることだし、見ないわけには行くめぇと、いそいそ足を運んだ。
1本目は1973年作品『鉄砲玉の美学』(ニュープリント)。中島監督が「自分でイカした題名をつけたかった」(本人談)というよくわからん(笑)理由で東映外、ATGにて1千万円で撮りあげた珍作。大阪からはるか彼方は南国・宮崎へ鉄砲玉として乗り込んだチンピラの、どーしよーもなくイジケた、イジケすぎてハジけ飛んだぶっとび半生が、頭脳警察のテーマ曲(+音楽監修:荒木一郎!)に乗せて、ギンギンガンガンに描かれる。シナリオ未完成のままロケ地に乗り込んだのかどうか、即興だか思いつきだか速攻でっちあげだかわからぬ、手持ちキャメラぶんぶん揺れ揺れなショット炸裂、その八方破れ行き当たりばったりな展開、早すぎたパンクムービーとでも評せるほどのハチャメチャさ。かといって、単なるカルトで終わらせるにはもったいない、勢い余ったWhite Light/White Heat((C)VelVet Underground)ぶりは、シネフィル映画獣はたまた頭脳警察ファンにだけ見せとくにゃ勿体ない気が。
仁義なき戦い』出演前夜、若き日、まさに銃弾のごときハチきれパワーでぶっちぎる、渡瀬恒彦がひとり舞台な大熱演。不良性感度の女神・杉本美樹との組んずほぐれつエロエロファック、渡瀬をオトナの貫禄であしらう九州ヤクザ・小池朝雄、聞き取り不能なわめき絶叫で場をさらう拓ボン(川谷拓三)、さらには声だけ出演なエンタツ遠藤辰雄)などなど、脇に顔出す役者もナイス。ま、一気に見切る映画で、再三再見するいわゆる名作シャシンじゃないんだけどね。「♪やられる前にやってやる!」