マイケル・ムーア:2003年3月、第75回アカデミー授賞式スピーチより

祝『華氏911パルム・ドール受賞! でっぷりデカデカ体型に過激な言動等、アクの強さで売るムーア。昨年、ボウリング・フォー・コロンバイン公開時、「米国版『電波少年』」なんて宣伝文句がやたら使われていたが、冗談言っちゃいけねぇ。あの日本テレビのバカ番組は、TVメディアならではの特権をふりかざし、国内外問わず、真面目に生きてる世間様に迷惑をかけに行っただけだ*1。ムーアがアメリカでやってる政治的プロパガンダとは雲泥の差だってぇの。右翼左翼、人種差別主義者に宗教団体、民兵・過激派等々、敵に回すはヤバい団体・組織をバッサバッサと俎上にあげて、ついにはホワイトハウスにまで殴り込み、社会に巣食う諸問題を皮肉とブラックユーモア炸裂させて笑い飛ばすその手並み、年金もマトモに払えないボンクラビンボー庶民としちゃあ拍手喝采モノ。向こうじゃ文字どおり、命がけだろうしな。
ボウリング・フォー・コロンバイン』の自己主張の強さに辟易した向きもあると聞くが、そういう方にはデビュー作『ロジャー&ミー』のDVDを借りるなりして、そこに収録された音声解説をぜひ聞いて欲しい。トレードマークたるオシの強い語りっぷりはどこへやら、映画製作時よりもさらに悪化する故郷ミシガン州フリントへの思いを訥々とつぶやくその声聞けば、あの男がただの目立ちたがりのインチキドキュメンタリー作家なんかじゃないことがわかって頂けると思う。今回のスピーチもおそらくは彼本来の人柄を思わせるような、おとなしめなモノだった。


*1:それが面白かった! というのはわかるけどさ。たまにはオモロイのもあったのも認めるけど、個人的にはどうにも不愉快な番組だった。