『マネーチェンジャーズ/銀行王国』

アーサー・ヘイリーの有名小説のTVミニシリーズ版。しばらく再放送もしていなかったハズなんでチェック。原作は中学生の頃に読んだけど、今読み返したらはたして面白がれるか、どうか? キャラづくりといい、筋立てといい、「通俗の極み」だからなぁ。まさにハリウッドB級映画風なんだよね。でも、映像化されるとけっこうハマるんだな、コレが。映画にするとA級とは言い難いが、TVドラマとしてはかなり楽しめる出来になってたり。『ホテル』とかもあれは映画だけど、雰囲気的にはそんな感じだった。
主演はカーク・ダグラス。頑健な肉体と狡知ぶりを誇った典型的な叩き上げ俳優。個人的には映画を見出した頃から大ファン。早速意味もなく街のチンピラと立ち回りをやってのけちまうし(笑)こうしたマッチョ顕示ぶりも実に微笑ましい。仇役はクリストファー・プラマー。永遠に言われるであろう、『サウンド・オブ・ミュージック』の“エーデルワイスの大佐さん”。今もバリバリ現役で最近は因業な老人役をやらせたら右に出る者なし! って感じだが、エミー賞を受賞した本作でも、登場シーンからいきなり、カーク・ダグラスとはまるっきり対照的な杓子定規で傲岸不遜な経理屋あがりの重役を、面の皮厚すぎる演技でやってのけてくれてて、見てて楽しい。その他、アン・バクスター(!)、ティモシー・“That's my Bush”・ボトムズ、ヘレン・ヘイズ、パトリック・オニールといったいかにも70年代臭ぷんぷんのわかりやすいキャスティングもイイ。
オレが見たいのは結局、こういう大衆ドラマなんだよな。映画作家だの監督だのが、芸術家気取って、たいしてありもしねぇ「個性」をムキだしに押し付けてくるような作品は、正直疲れるんだよな。もちろん、あまりに無味乾燥、おざなりなだけのプログラムピクチャーもつまらねぇけど、中途半端な「個人の味付け」をされるよりは、集めた「素材」本来の味をそのまま出してほしい、ってコトも多々あるんだよね。
ちなみに、音楽は大家ヘンリー・マンシーニ、そして撮影はジョゼフ・バイロック。おおッ、ロバート・アルドリッチの右腕じゃないっすか! ミニシリーズ全盛期の勢いがしのばれる作品なのは間違いないっすね、うむ。監督はボリス・セガールってのも渋くていいぜ! 『刑事コロンボ』とか、このテのわかりやすくまとまってるTV映画を得意とした方ですな。時代が全然古すぎるし、「王道」なんてフレーズを気安く唱えたくはないけど、ドラマの演出の「基本」ってのはこのあたりを出発点にすべきなんじゃないかねぇ? ホント、基礎もナニもできてねぇのにいきなり自分の趣味だとか売り付けないで欲しいからさ。芸術家気取るのはジジイになってからでいいよ、ホント。
あ、肝心の吹替キャストについて。元がNHKだからキャスト表がないわけないんだけど、スーパーチャンネル、間抜けにも外してけつかるんで(怒)確認できないんだってば。こういうの、確定できないとイライラするんだから、絶対外すな!!!>放送スタッフ カーク・ダグラスはおなじみ宮部昭夫さんじゃなくて高橋昌也。クリストファー・プラマーは滝田裕介(のハズ)。特別なTVドラマってコトで、名のある俳優がアテた好例。どっちもなかなかハマってます。ティモシー・ボトムズ野沢那智、パトリック・オニール=中村正ってのは一発でわかったけど、ほかにもいろいろ確認したいキャストがいてさ、ったく……。