『ラブ・アクチュアリー』

その後、銀座へ走り、UIPでラブ・アクチュアリーなる、英国発新旧スター競演のラブコメを見る。それほど期待していなかったが、その前に見た映画がヘヴィすぎた反動か、思いのほか楽しんでしまった。なじみの宣伝会社のお姉さんに「いや〜他愛ないですねぇ〜」なんてつい口走ってしまったりしたが、その「他愛のなさ」こそ、唯一ダントツ、チャーミングポイントな作品だったと思う。
コレ、実は完全なるクリスマス向け映画でして。総勢20名くらいのスターが顔見せ興行、他愛のない恋の鞘当て、飽きもしないで繰り返し、ってヤツ。
80〜90年代ポップのわりかしマニアックなトコ勝負な選曲がそれなりに凝っている感じではあったけど、つくり的には小難しさなんてカケラもなし。いたってオーソドックス。語り口や台詞に、各所なかなか粋なサービスがあるのは心憎い。


とにかく、キャストの顔触れが見モノなんですよ。だって、あのヒュー・グラントが英国首相(!)役なんだよ! それだけで笑うしかないじゃん。しかれどもこの男、最近は再び絶頂期かどうか、昨年の『アバウト・ア・ボーイ』といい、お気楽極楽風来坊な30代シングル男のキャラがハマること、ハマること。そのノリまんまで首相やっちゃってんだから、お手柔らかに、ってなもん。彼の恋のお相手つとめるメイド(配膳主任)役の女優が、また絶妙に「お手ごろ感」(<失礼?)バリバリな女優で、笑っちゃうんだ、このへんがねぇ(広川太一郎調)。
で、首相の「妹」役がエマ・トンプソン、その旦那はアラン・リックマンと来たもんだ。吉本新喜劇ばりにわかりやすいキャスティングでっせ、ほんま。「姉」夫婦の間違いやろ、と字幕にツッコミ入れたけどね。
あ、オレ的にヒットだったのは、米国大統領がなんとビリー・ボブ・ソーントン(!!!)だったコト。思わず、客席でオレひとりだけ吹き出したもん。なんやねん、一体この顔合わせは! ビリー・ボブが大統領なんて、もぅナンでもアリやないですか! いや、芸達者な人だけに、意外や、それほど違和感はなかったんだけどね。


演出的には各所やや長過ぎるというか、少々モタり気味な面が目立つんだけど、ビールでも呑んでポップコーンパクついて見れば、けっこうあっという間に終わるんじゃないかな。とにかく、キャストの顔触れが有名新人問わず、なかなかバラエティには富んでいるので、眺めてるだけでも楽しいと思うんだよね。
こういう娯楽作は、マジに語ると馬鹿を見るよね。お気楽に見流してナンボ、でも、こういう作品こそが本来の映画、見世物らしい見世物だとつくづく思いますけどね。映画はとどのつまり娯楽の産物、いわゆる「芸術」なんかじゃ絶対にないですよ、しょせん。そんなコトを改めて思い起こさせてくれた作品でした。