『ヴェルクマイスター・ハーモニー』

ハンガリーの文字どおりの鬼才タル・ベーラが放つ、暗黒の映像叙事詩より。手前味噌だが、以前某所に書いた紹介文を貼っとく。

題名からして面妖な、世界映画史に残る大怪作。東欧はハンガリーの寒村を舞台に、人類が歴史上繰り返してきた「残酷絵巻」が悪夢のごとく展開する、モノクロで2時間半、全37カット(!)の一大映像巨編。
 ハンガリーの田舎町の広場に、「世界一巨大なクジラ」を見世物にした移動サーカスがやってくる。だが、サーカスを率いる「プリンス」なる謎の男は、暴動を扇動し各地に災厄をもたらしているという。この噂を聞いた主人公の郵便配達夫の青年は、真相を探るうち、世にも恐るべき事態を目の当たりにする……。
 世界にはびこる「不穏な空気」そのものを見事にとらえたダークでシュールな映像世界。おそらく貴兄がいまだかつて見たことがない不思議な映画であることは保証する。モノは試し、ぜひともチェックを。

……ところで、この[名台詞/名文句]集、以前は映画や文学といったフィクションのセリフからチョイス、で、個人の発言は[名言集]という形で分けていたんだけど、最近は[名台詞/名文句]で統一してしまってます。まぁ、遡って読んで頂けるような奇特な方はそんなにおいでじゃないでしょうから、いいよね。