ジョン・ゾーン「The Big Gundown」から、つらつら。

BGMはジョン・ゾーン「The Big Gundown」エンニオ・モリコーネの映画音楽を解体/再編集しまくったイカしたセッション集(と評していいのかな?)久々に聴いたが、ナニが飛び出すかわからぬ異種格闘技風な音世界にワクワク。
ジョン・ゾーンはややもするとちょっとヒステリックな音遊びが多い人ではあるんで、なかなかヘビロになりませんが、JOHN ZORN/GEORGE LEWIS/BILL FRISELL「NEWS FOR LULU」だけは一時よく聴きました。『パンドラの箱』とかで有名な神話的女優“ルル”ことルイーズ・ブルックスに捧げたアルバム。ゾーンがいつになく抑制されたサックスを聴かせ、トロンボーンのジョージ・ルイスとアコースティックギタービル・フリゼールと絶妙な間合いでカラミます。コレ実は、坂本龍一の<教授が選ぶ名盤100枚>というセレクションで知ったんですけど、教授、まさかゾーン当人から罵倒されていたとは知らなかったろうな(笑)
以下、参考までに。
ジョン・ゾーンのインタビュー(聞き手:大場正明先生)
http://c-cross.cside2.com/html/g20si002.htm
ジョン・ゾーンディスコグラフィ
http://www.wnur.org/jazz/artists/zorn.john/discog.html


ついでながら書いておきますと、ルイーズ・ブルックスという女優もかなり面白い存在ですよね。残念ながら、パンドラの箱しか見たコトないですが、「蠱惑(こわく)的」という言葉はこの女性(にょしょう)のためにこそあり、と評したくなるほど、とにかくただならない雰囲気のある人。おかっぱ、じゃない、いわゆる断髪スタイルの原型イメージとなった方でもありますね。蛇足ながら続ければ、ジョナサン・デミの快作サムシング・ワイルドのヒロイン、メラニー・グリフィスのいでたちはルイーズ・ブルックスのコピーでした。すなわち、あの作品は“ルル”へオマージュを捧げた映画でもあったわけ。


どんどん脱線してますが、『サムシング・ワイルド』とか80年代アメリカ映画はそろそろ真っ当な再評価が必要な気がします。特にジョナサン・デミ。『羊たちの沈黙』の成功以降、知名度と反比例して、彼の才気あふれる作品群は逆に評価されなくなった観が。目下公開中のスパイク・ジョーンズチャーリー・カウフマンアダプテーション、あれはもともとデミが監督する予定だったらしいけど、誰も何の話題にしてない。愚生考えるに、70年代監督と21世紀の新世代監督をつなぐミッシングリンクのような映画作家ジョナサン・デミはそんなユニークな存在だと思うのだが、これいかに? 今後もこのあたり、個人的な勉強材料になりそうです。