『新・座頭市 I』第4話「月の出の用心棒」

原作:子母沢寛
脚本:池田一朗、岩元南
監督:太田昭和
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
矢吹源太郎:石原裕次郎
沢田真吾:佐々木功
矢吹美緒:吉沢京子
割貝の友蔵:立川雄三
笹岡の今朝次:永井柳太郎
観音の権次:浅野謙次郎
お役者小平:壇喧太
彌蔵:暁新太郎
鬼吉:森正親
利根崎の六兵衛:鈴木康弘
ほか


 矢吹源太郎(石原裕次郎)は、妹美緒(吉沢京子)に、恋人沢田真吾(佐々木功)に勝ちを譲ってほしいと哀訴されたが、いくら愛する妹の頼みでも、剣一筋に生きる源太郎には、耳を貸すことができなかった。御前試合で源太郎は真吾を倒した。酒席で、恋人を利用して八百長試合を画策したことで、いやみを言う同僚を斬り、真吾は美緒を連れて逐電。源太郎に、真吾討ち取りの皮肉な上意討の下命がくだった。
 あてのない諸国放浪のすさんだ旅の生活がたたり、いつしか視力を失いかけている源太郎は、ひょんなことから座頭市勝新太郎)と道連れになった。漂泊者同士の二人の間には、男同士の奇妙な友情が芽生えた。市は、源太郎に盲人剣法の奥義を伝授。市の底抜けの極楽とんぼぶりが、源太郎に生きる希望を鼓吹した。そんな時、源太郎は、宿場女郎に落ちぶれている美緒に再会した。身受けには大枚百両の金がいった。源太郎はやくざ割貝の友蔵(立川雄三)一家の用心棒になった。一方、市は昔世話になった笹岡の今朝次(永井柳太郎)一家に草鞋を脱ぐ。笹岡一家と割貝一家は犬猿の仲。卑劣な割貝一家の暴虐ぶりは目にあまった。
 やがて、市と源太郎の宿命の対決が待っていた。斬りたくない奴でも斬らなくてはならない場合もある。それが、浮世の裏街道をゆく渡世の掟だ。市は源太郎を斬った。「これで意味もなく生きてゆかなくてもすむ…」。安らかな死顔だった。市の心の荒野には、生かしておいては世の中のためにならない奴を斬った時よりももっと激しく、もうもうたる砂塵が舞い上がった。