『新・座頭市 III』第1話「今日も行くひとり旅」


原作:子母沢寛
脚本:新藤兼人
監督:太田昭和
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
お仙:浅丘ルリ子
佐吉:村松克己
清次:江藤潤
船虫の権太:菅貫太郎
まむしの留:暁新太郎
源十郎:山本昌
女中:新名一美
ほか


座頭市勝新太郎)は、イカサマを働いてやくざ一家に追われる旅烏の佐吉(村松克己)を助けた。佐吉は三年ぶりに女房お仙(浅丘ルリ子)の待つ故郷へ帰る途中であった。苦労をかけたお仙に、まさか手ぶらでは帰れない。ついイカサマに手が出た。佐吉は盲人とあなどり市にサイコロの勝負を挑んだ。市が勝った。命の恩人であることも忘れ、佐吉はスキを見て市を斬ろうとした。よんどころなく市は佐吉を殺した。
 久しぶりに見る佐吉の変わり果てた姿に、勝気なお仙は涙一つ見せなかった。お仙は市に固く復讐を誓った。病気の父の薬代のために泣く泣く売られてきたお仙に同情して、あり金をはたいて泥水稼業から救ってくれたのが佐吉だった。だからお仙にとって佐吉は通り一遍の亭主ではなかった。三年前に一家の親分を斬って凶状旅に出たのも、元はといえばお仙が原因だった。佐吉は兄弟分の船虫の権太(菅貫太郎)に扇動されて親分を殺した。縄張りが手に入ればお仙に楽をさせられると思ったからだ。だが、長い草鞋をはくハメになり、縄張りは権太が奪った。色と欲との二筋道、お仙に横恋慕する権太は、最初からその魂胆だった。忠実な弟分の清次(江藤潤)と留守を守るお仙は権太の誘惑を拒み通した。お仙に市を斬れば夫婦になってもいいとほのめかされて、純情な清次はすっかりその気になった。口には出さねど清次はお仙の年上の女の魅了にすっかりまいっていた。だが、いつしかお仙の市に対する殺意は徐々に薄れていった。こんないい人が人を殺すなんてよくせきのことだ、きっとうちの人にも落度があったのに違いない…。
 一方、いつまでも色よい返事をしないお仙にじれて権太は…。