ダスティン・ホフマン『レインマン』(バリー・レヴィンソン監督)

なんのかんのと2ヶ月に渡って続けてる本雑記の名台詞/名文句集。セレクションはトーゼン、落合ばりにオレ流なわけだが、どっちかつうとフレーズ単体で突出したモノより、各作品ごと、いかにも名場面と評すべきシーンで語られる台詞が多いかも。映画というのは、いくら印象に残る名場面だからって、台詞までイイ文句が並べ立てられてるわけじゃないので、実際、反則ぎみなピックアップが続いてる観もあるんだが、まぁ御勘弁を。
ところで、この名場面からチョイスするやり方だと、場合によっては「ネタバレ」しちゃう危険性もあるんだよね。今回の台詞なんぞは、未見の方はあまり気に留めず、どのあたりで出てくるか、なんとなく見ておいてもらうといいかもしれず。
バリー・レヴィンソンは個性的な映画作家というよりは、どっちかつうと時折才走ったシャシンを撮る、良くも悪くも通俗派監督だが、本作は名作だなと。ダスティン・ホフマンのなりきりピュア演技、それを体当たりで受けてたつ若々しきトム・クルーズ。何度見直しても、その都度笑い泣きさせられる。
野郎ふたりが珍道中を重ねるうちに心を通わせるという設定は、いわゆるロードムービーの典型でもあり*1シドニー・ポワチエトニー・カーティス『手錠のまゝの脱獄』ジーン・ハックマンアル・パチーノスケアクロウ、リュディガー・フォーグラー&ハンス・ツィシュラー『さすらい』トム・ウェイツジョン・ルーリー(+ロベルト・ベニーニダウン・バイ・ロー、堺雅章&笠智衆(+研ナオコ!)『街の灯』(※森崎東監督)等といった過去の名作傑作に勝るとも劣らずじゃないかと。
「可愛い子には旅させろ」なんて昔の人ァ、やっぱしイイこと言うじゃねぃか。いけすかねぇ不良の兄ィでも、むくつけき親爺でも、いけてねぇ野郎にゃ旅させろ。そりゃァお互い、最初は口もきかねぇ、きいたらきいたで喧嘩はするわ、見てられねぇかもしれねぇさ。でもな、旅が終わる頃にゃあ、知らねぇ間にてめえら同士で才覚なんぞ働かして、困った時には助け合う、ちったァマシな二人組が出来上がるってぇモンなのよ。男にとってなにより必要なのは、やっぱ信頼できるダチなのさ。旅は道連れ、世は情け、男に怖いは醜女の深情け、ってねぇ。


*1:野郎ふたりがお互い何の因果かツラ突き合わせ、寄ると障ると喧嘩して…なんて設定は、いわゆる<バディ・ムービー>とも呼べようが、どっちかつうと『48時間』『リーサルウェポン』等、刑事ものの一主流というイメージあり。