『新・座頭市 II』第17話「霜夜の女郎花」

音無姉妹競演。


原作:子母沢寛
脚本:村尾昭、中村努
監督:太田昭和
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
おはつ:幸真喜子
おいね:音無美紀子
まむしの弥三:清水紘治
安五郎:小山源喜
伊助:梅津栄
藤兵衛:江幡高志
たか:小柳圭子
ほか



日照り続きで一家の窮状を救うために、農民の娘おいね(音無美紀子)が犠牲になり、泣く泣く苦界に身を沈めた。そのおいねがつとめの苦労がたたって病気に倒れ、満足な療治もさせてもらえない悲惨な有様だと風の便りに聞き、姉思いの妹おはつ(幸真喜子)は居ても立ってもいられず、一人で村を飛び出した。おいねのいる相州伊勢原宿の「よしのや」まではかなりの旅だ。路銀もいる。おいねにもおいしいものを食べさせ、医者にもかからせたい。姉を思う一心は、おぼこの百姓娘を旅人の懐中を狙うすりに変身させた。自分は食べるものをつめてもおはつはせっせと金を貯めた。腹をすかしているおはつに、にぎりめしをめぐんでやったことから、座頭市勝新太郎)はおはつと道連れになった。
 「よしのや」の主人夫婦の藤兵衛(江幡高志)とたか(小柳圭子)は鬼のような人間だった。おいねが働けない代わりに、無理矢理におはつを店に出した。まだほんの少女のおはつが、毒々しく厚化粧させられて、ぎこちない媚態で客の袖を引く姿の痛々しさに市の心は重く沈んだ。おはつの美貌に二足の草鞋の悪目明しまむしの弥三(清水紘治)が目をつけた。油ぎった弥三の倒錯的な陵辱に、おはつの花の操は無残にも散らされた。それでなくても、十手にものを言わせる弥三の横紙破りの所業には、宿場中が泣かされどおしだった。市の怒りは一度に爆発した…。