『新・座頭市 II』第11話「子別れ街道」

原作:子母沢寛
脚本:新藤兼人
監督:太田昭和
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
お品:范文雀
疾風の銀太:高岡健
印旛の佐吉:和崎俊哉
三吉:清水康晴
七右衛門:今福正雄
熊ン蜂の多助:浜田寅彦
いが栗の仙八:大林直樹
もぐらの金六:丹古母鬼馬二
黒松の忠三:堀礼文
鮒屋の女中:武田てい子
鴉屋の女中:松村康世
ほか


若い後妻のお品(范文雀)が子分の印旛の佐吉(和崎俊哉)と駆け落ちして、お品の女体におぼれきっていた熊ン蜂の多助(浜田寅彦)は、烈火のようになって怒った。疾風の銀太(高岡健二)、いが栗の仙八(大林直樹)、もぐらの金六(丹古母鬼馬二)、黒松の忠三(堀礼文)の四人に、追跡の任務が下った。実は銀太もお品に恋していた。銀太の胸中は複雑だった。銀太はお品の思わせぶりな色目に、無理して無関心をよそおってきた勇気のなさを、今さらのように悔んだ。純朴な男やもめの佐吉は本気だったが、お品としては駆け落ちの相手は誰でもよかった。駆け落ちの裏切り行為は、いやらしい中年男の獣欲で乙女の純潔を凌辱した多助への復讐だったのである。佐吉は七つになる男の子三吉(清水康晴)を連れていた。
 座頭市勝新太郎)は、偶然、佐吉ら逃亡者親子と同宿になった。銀太ら熊ン蜂一家は市の仕込杖に蹴散らされた。しかし佐吉も追手に斬られた。佐吉はお品と三吉の後事を市に託すと絶命した。行きがかり上、市は三吉を印旛沼で漁師をしているという祖父七右衛門(今福正雄)のもとまで連れて行くはめになった。今となっては熊ン蜂一家から身を守る大事な楯である市の歓心を買おうと、精一杯の媚態を示すお品が、市には哀れだった。
 昔気質でいっこく者の七右衛門は、親の意見にそむいてやくざになった佐吉を息子と思っていないから、その子供も孫ではないと、三吉引き取りを拒絶した。一方、お品には市がついたのを知り、多助は自ら陣頭に立ち、大掛かりな追跡隊を編成した。そして…。