『新・座頭市 II』第6話「五本の長脇差」


原作:子母沢寛
脚本:久保田圭司、岩元南
監督:太田昭和
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
大寅:杉本隆
小寅:亀田秀紀
三吉:司茂和彦
利助:佐藤修
辰:荒居光夫
銀蠅のお駒:夏純子
黒谷の二七:山本麟一
源蔵:金井進二
仙次:白川浩二郎
常松:国一太郎
ほか


せまい荒地にしがみついてつらい百姓仕事をするよりも、渡世人で出世して世の中を面白おかしく暮らすのだ。かっこいい任俠道にあこがれ、一番年長の大寅(杉本隆)をリーダーに、小寅(亀田秀紀)、辰(荒居光夫)、利助(佐藤修治)、三吉(司茂和彦)の五少年が、勇んで村を飛び出した。いっぱしのやくざ気取りの少年たちの、稚気満々のアウトローぶりに、座頭市勝新太郎)はハラハラする思いだ。
 まともに世間を渡っていれば、自分もこのような少年たちと同じ年かっこうの子供がいてもおかしくない年配だ。若木の時代にちゃんと意見をしてくれるものがあったら、こうやって人に嫌われて浮世の裏街道を歩かなくてもすんだかもしれないものを…。幸福でなかった少年時代が嫌でも忍ばれて、市の心は重い。だが、情理をつくして帰農をすすめる市の親心に耳を傾けるには、世間知らずの少年たちは血気にはやりすぎていた。
 男をみがくにはいい親分にかための盃をもらわねばならぬ。五少年は黒谷の二七(山本麟一)親分に何度も門前払いをくわされていたが、急に風向きが変わり、二七はあまりメリットのない五人を子分にする。実は、女道中師銀蠅のお駒(夏純子)の差し金だ。縄張り争いで安中の東五郎一家といがみあう黒谷一家は、最近やや押されぎみ。パワーアップをはかる必要から、市の用心棒幹旋を街道に顔の広いお駒に頼んだ。だが、あの手この手のお駒のプッシュも、市にはヌカに釘。たいていの男ならイチコロのピンク攻勢もいっこうに効き目なし。そこで、頭のいいお駒は、市の少年たちに寄せる涙ぐましき“父性愛”を利用したというわけ。
 お駒の作戦は功を奏した。少年たちに盃を返すことを条件に、しぶしぶ市は黒谷一家の用心棒になった。事情を知らない少年たちは、市が自分が用心棒になりたいばかりに、きたない手をつかって彼らをお払い箱にさせた、と逆恨み。そして…。