『新・座頭市 III』第5話「ふたおもて蝶の道行」

拓ボン再登場!!! もうそれだけで最高だが、最高傑作「心中あいや節」を手掛けた星川清司氏の脚本に、鬼才・黒木和雄の演出。見るっきゃないです。

原作:子母沢寛
脚本:星川清司
監督:黒木和雄
撮影:牧浦地志
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
三之助:川谷拓三
おきた:松尾嘉代
多喜蔵:峰岸徹
音次郎:石太郎
作兵衛:乃木年雄
外回りの女:ひろ新子
宿の女中:三田真澄
ほか

題名どおり、拓ボンとカツシン(劇中キャラより本人たちの交歓まんまという風情)が織りなす道行きもの。星川清司氏の脚本は例外的に直しが入らない方と思いこんでたが、改めて検証すると、本編はどうやら違うっぽい。BSフジHPを見たら、何やら不気味な、それこそ切り裂きジャック風のサイコキラーが登場するような話に思えたが、そんな不穏さはない。マカロニ・ウエスタンで見たような、男同士の奇妙な友情が描かれて、可笑しくもやがて悲しい物語が展開。
川谷拓三はホントに愛すべき役者としか言いようがない人。この人が嫌いな映画ファンって、世界中さがしてもいないんじゃないかってくらい。そんな拓ボンから、「オレを見捨てないでくれよ〜」なんて言われたら、たまらない。ハッキリ言って泣いた。男泣きな一編。
例によって即興炸裂で話はわかりにくいし、構成が破綻してるというか、緊密度には欠ける作品かもしれないけど、拓ボンを見てるだけでおつりがくる。「拓ボン原理主義者」にはたまらなかったw
拓ボンのことばかり書いてしまったが、松尾嘉代も独特の艶っぽさでナイス。『子連れ狼 三途の川の乳母車』でも見たような、放心した体の表情が何とも言えず魅惑的。