『斬り抜ける』(時代劇専門チャンネルで放映中)

こちらは『おしどり右京捕物車』の後番組だったそうな。スタッフはほとんど同じだけど、こちらは70年代ダルダルムードぷんぷんだったり、雰囲気はだいぶ違う。火野正平のアドリブ風演技、なかなか飛ばしてて可笑しい。絶対台本にないセリフも言ってるよな(笑)
ふつうのチャンバラと一味違って、刀は実際には人を1、2名しか斬れない、という現実的設定を導入。なので、相手の刀を奪って斬り伏せたり、刀を最初から数本用意して戦うシーンが目立つ。リアルな殺陣という趣向で挑んだのだろうが、ちょい惜しいことに近藤正臣はいまいちチャンバラは巧くない感じ。運動神経はよさげで身ごなしはいいのだが、やっぱり腰高すぎるんだろうな。まぁ、力任せに斬ってる感じはして、そのへんは好感もてるんだけど。
工藤栄一御大が演出した第8話『女が愛にゆれるとき』がテンション高くて凄かった。キャメラは手持ちばかり、それで狭い小路でチャンバラしたり、激流川下り(!)したりするので臨場感ありまくり。TV時代劇も監督次第で全然仕上がりが変わってしまうんだよな、、、言うまでもないかもしれないんだけど。

それにしても岸田森(笑)、、、根性がヒネ曲がった仇役をノリノリで演じてる。邦画界最高の悪役俳優・佐藤慶のほうが人間味ある役柄ってのも可笑しい。まぁ、この後、同じ放送枠『新・必殺仕置人』で念仏の鉄を虐ぶりまくったり、やっぱり極悪キャラは全開だったんだけれども。
そういや、佐藤慶でいちばん好きなエピソードは、誰が語ってたんだったかつい失念したけど、
「佐藤くんはね〜、『酒飲もう!』って誘うと、『わかりました。先にメシ食います!』っていつも御飯どんぶりで食うんだよ!」
ってヤツ。空きっ腹だと酔いが回るので、先に腹に何か入れておく、ということだろうが、妙に健康に気を遣いまくってるらしいトコがより悪役らしいというか、いじましいというか。大島渚の『新宿泥棒日記』だかで渡辺文雄(笑)だかに言われてたんだったかなぁ? 実際の本人は生真面目でいい人なのか、けっこう稚気むきだしで飲み話してたりするんだよな。

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