よいこのためのプログレにゅうもん。

やぁ! こんばんは! サソリのおにいちゃんだよー! きょうはこれからみんなでアイスクリームこうじょうにいこう、、、じゃない、みんなにたのしくてためになる、よいこのためのぷろぐれのれこーどをばんばんしょーかいしちゃうぞぉ〜! 
まずはこいつからだぁ!(※以下めんどいのでフツー表記)

狂気 (30周年記念盤)(SACD)

狂気 (30周年記念盤)(SACD)

クリムゾン・キングの宮殿(紙ジャケット仕様)

クリムゾン・キングの宮殿(紙ジャケット仕様)

「狂気」については、いきなりSA-CDとか高音質で聴いてしまうとまた違う方向へ行ってしまいそうでコワい、言わずと知れたモンスター・アルバム。通称「宮殿」はプログレ好きなら絶対に避けて通れぬアイコン中のアイコン。四の五の言わず、この顔を見よっ! そして聴けッ!

 
以上2枚は、プログレにとどまらず、ロックの歴史的名盤。コレ聴いたコトないクセにロック好き、いやいいや音楽(ポップ・ミュージックという意味での大衆音楽)好きなんて云う権利なし! とまで断言したい。好き嫌いだとか、自分個人の音楽的評価なんぞ抜きで聴いておくべき一作。*1
あとはいわゆる五大バンドから、オレが信ずるバンドの代名詞的最重要作を列挙。

タルカス(K2HD紙ジャケット仕様)

タルカス(K2HD紙ジャケット仕様)

エマーソン・レイク&パーマーEL&P/ELP)は「展覧会の絵」ではなくあえて「タルカス」を。A面の組曲「タルカス」に、ELP最良最高のモノが詰まってる。この1曲で充分! 
展覧会の絵」はアルバムで聴くより、映像版で見たほうがイイと思う。
展覧会の絵 完全版 [DVD]

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……というか、ELPはホントはコレ一作でも見れば充分じゃないかと(爆)ただ、世間に流布したプログレ像みたいなモノを理解するには、やはりどんなアーティストであれ、一枚はしっかりアルバムを聴いておくべきとも思ったりするワケね。ただ、ELPの場合のみ、聴く以前に「見る」べきバンドとも言える。キース・エマーソンの常軌を逸したキーボードプレイ、あのライヴ・パフォーマンスを目にせずして、プログレはもちろん、70年代ロック史は語れない! まぁ、面倒臭かったら、『ワイト島1970-輝かしきロックの残像』に収録された公式ライヴ・デビュー映像拝むだけでも可…って、よくないか? 再発版も出てるので、そっちをチェックしたほうがいいかも。
ワイト島1970?輝かしきロックの残像? [DVD]

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イエスソングス(紙ジャケット仕様)

イエスソングス(紙ジャケット仕様)

エスからはもうコレに尽きる。レコードと寸分違わぬ高度なプレイがギッチリ満載再現、聴き通すだけでお腹いっぱい。全部聴き通すのが面倒くさかったら、「ラウンド・アバウト」だけ聴きなさい。ちなみに、現物で確認していないので確言しないが、音質的にはライノから出たリマスター盤でチェックするのがベストらしい。まぁ、現行盤で充分と思うが。

フォックストロット

フォックストロット

ジェネシスなら海に浮かぶキツネ女が目印のコレ。個人的には最も好きなグループなんで、実はコレよりも前作「怪奇音楽骨董箱(ナーサリー・クライム)」か、ピーター・ガブリエル在籍時の最終作「眩惑のブロードウェイ」を真っ先に聴かせたいのだが、入門編としてはコレかなぁと。キング・クリムゾンの「宮殿」と並ぶ、プログレ伝家の宝刀メロトロンの名演「ウォッチャー・オブ・ザ・スカイズ」を聴かずして、プログレは語れない! とも思うし。もちろん、B面を飾る大曲「サパーズ・レディ」もね。


……さて。ココからが問題。マニアには異論もあろうが、プログレってな結局、この五大バンドに始まり、コレに終わるとは言えるンですよ。少なくとも日本のプログレファンにとってはそう。70年代から音楽聴いてたオールドファンからすると、情報を整理しすぎ、と説教喰らいそうだが、オレ自身が中坊の頃以来、先輩や同志から教えられたりして自ら学んだように、とにもかくにもまずはこの5枚を聴け! と云いたいのね。
もっとも、コレで終わるってのも残尿感ありまくりつうか、シャクに障る。以下、オレが信ずるベスト10を列挙。
ホントは五大バンドも上記作だけじゃなく、それぞれ最低2、3作ずつは選ばないと気が済まないンだけど、それは次回というコトで。今回はあくまでプログレ入門、コレからプログレを聴く方に向けてあえて書いているので、識者な向きにはつまらんだろうが、筆者が信ずる方針に従って書かせて頂く。ただし、そうは云ってもやはり例外はある。それがプログレの代名詞的バンド、キング・クリムゾンピンク・フロイド。彼らからだけはもう1作、入れさせてもらう。

キング・クリムゾン「太陽と戦慄」
ピンク・フロイドザ・ウォール
マイク・オールドフィールド「チューブラー・ベルズ」
ソフト・マシーン「3RD」
ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレイター「スティル・ライフ
カン「タゴ・マゴ」
PFM(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ)「クック=ライヴ・レコーディング=」
アレア「アレアツィオーネ“アレア・ライヴ”」
マグマ「ライヴ!!」
フォーカス「アット・ザ・レインボー」

どうだァッ〜おりこうさん!*2コレがオレがプログレ初心者が聴くべきと信ずるベスト10だッ! あれ? ゴングは? ジェントル・ジャイアントは? ジェスロ・タルは?……とかいろいろ疑問はおありでしょうが、コレはあくまで「オレ流」セレクション! 例えばの話、手元にあるプログレ関係のガイド本にはキッチリ目を通したうえで選出してますので、どうかお手柔らかに!
ライヴが多いのは、プログレ好きというのはいかに「バカテク」偏愛者が多いか、というコトを肌で知って頂きたいというのがまずひとつ。レコードの複雑怪奇な楽曲をステージで変幻自在な超絶テクニックであっけなく再現してしまうプログレのツワモノたちの本領はライヴ・アルバムを聴いてこそと思うから。もうひとつはライヴは選曲がバンドのヒットナンバーのメドレー、ベストアルバム風に並んでいるからというのもある。初心者こそライヴから入るべしと思うですよ、マジ。

太陽と戦慄 (LARKS’ TONGUES IN ASPIC)

太陽と戦慄 (LARKS’ TONGUES IN ASPIC)

キング・クリムゾン「太陽と戦慄」はプログレ界きっての偉大なる詐欺師ロバート・フリップがおのれが手で為した最高最良のアルバムと評したい。80年代の再結成版第1作「ディシプリン」も世評以上に素晴らしい作品と思うが、アレはキング・クリムゾンと云うより、本来は<ディシプリン>という別バンドとして考えるべき。現在のクリムゾンも同じく。*3
ザ・ウォール

ザ・ウォール

ピンク・フロイドは本来的にはファースト「夜明けの口笛吹き」、または出世作「原子心母」も選んで3作チョイスしてもいいのだが、80年代、新たな時代を前に、プログレという大仰な音楽スタイルに自ら終止符を打ったような風情ある大作「ザ・ウォール」のほうをまずは聴くべきでは、と考えて選出。「狂気」以前のピンク・フロイドサイケデリック・ロックの体現者としても見るべきで、それを確認するなら、『ライブ・アット・ポンペイ』を見れば事足りると思う。「原子心母」で導入されたオーケストラなどは別にプログレならではの手法というワケではないし。ちなみに個人的には「炎〜あなたがここにいてほしい」がベスト。

さて、ココからは問題の王道五大バンド以外。語り方もおのずとちょいと変わろうってなモン。
チューブラー・ベルズ(紙ジャケット仕様)

チューブラー・ベルズ(紙ジャケット仕様)

ヴァ−ジンレーベルをメジャーに押し上げた、これまたロックファン、つうか音楽ファンなら教科書的な必聴作。というか、『エクソシスト』見たり知ってたりして、コレを聴きたくならないほうがどうかしてる。大学に入学した年、満を持してCDを買って、いざ聴いてみた時の感動たるや忘れられない。しばらくは毎日のように聴いていたものだ。これほどに孤独でさみしい文化系ロックヲタ青年の偏愛をそそるアルバムも珍しいのではないか? ハマる人のほうが確実に不幸と思うが(爆)、こういう孤高孤絶なる作品にハマればこそ、見えてくる心象風景というモノもあることを、真面目な話、多くの方に知って欲しいとは思う。*4
3

3

ソフト・マシーンからは真のプログレ求道者と評すべき偉人ロバート・ワイアットがその名唱&名演でもって、ヒュー・ホッパー&マイク・ラトリッジらとスリリングに展開するインタープレイがあまりに素晴らしい。「4」はややジャズロック然とまとまりすぎな観もあるので外した。ワイアットの名唱を聴くなら「2」も必聴。
スティル・ライフ(紙ジャケット仕様)

スティル・ライフ(紙ジャケット仕様)

ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレイターは目下紙ジャケがリリース中、再評価が待たれるが、本作は彼らの最高傑作にして、英国プログレ界最高のボーカリストピーター・ハミル絶唱に打たれまくる。難解というより、美しい言葉の響きを楽しむべき歌詞を読みつつ、秋の夜長、題名のごとく、一個の静物と化して聴きたい。
タゴ・マゴ(紙ジャケット仕様)

タゴ・マゴ(紙ジャケット仕様)

いわゆるジャーマン・プログレと云えば、ほかにもクラフトワーククラスター、グル・グル、ノイ!、ファウストなどなどテクノ&エレクトロニカ、音響系に多大な影響を与える多士済々な布陣だが、その中でも最もプログレらしいというと語弊があるが、入門編的なアルバムというとコレかなと。ダモ鈴木の怪異面妖な異形ボイスが、フランク・ザッパに比肩する究極の超絶無比な演奏に乗って八方無尽に展開、深遠なる宇宙へと誘なう。何度聴いても把握しきれぬ、世にもおそるべき音楽がココに。


さて、いわゆるユーロ・ロックからはどれを取り上げるべきか、というのも悩みどころ。オレの場合は入門編というコトでメジャーどころに絞ったので、迷わずに済んだが、正味の話がこんなのは氷山の一角どころではなし。あくまでも、初心者向けということでお手柔らかに。
Cook

Cook

PFMのライヴ作は、ロックのロの字も知らないウチのオカンでもノれたくらい、いかにもイタリアらしい陽気な楽曲と演奏に魅了されまくり。看板曲「ラ・フェスタ」を聴くたび、音楽ってホント、まさに楽しむモノなんだと思わせてくれる。
アレアツィオーネ/ライヴ

アレアツィオーネ/ライヴ

アレアは音楽の素晴らしさもさることながら、デメトリオ・ストラトスという地中海が生んだ革命的音楽家を忘れたくないために選んだといっても過言ではなし。プログレ界は演奏偏重というか、ボーカルの魅力が忘れられがちだが、ストラトスの声の凄まじさはPFMをも凌ぐとも云われた超絶技巧のメンバーの演奏をもはるかに凌駕。革命歌「インターナショナル」が定番曲だったことで知られるように、左翼活動家としても知られたが、『戦艦ポチョムキン』を想起させずにはおかぬ名曲「オデッサのリンゴ」で、実際にステージでリンゴかじってみせる可笑しみ漂うパフォーマンスなど、やはり本領は音楽にあった。
ライヴ

ライヴ

マグマはアルバム的には「未来からの鼓動〜ウドゥ・ヴドゥ」が最高傑作と思うが、偉才クリスチャン・ヴァンデと彼が創造/創出するコバイヤ世界を堪能するには、まずはライヴが最適かと。できれば本作を聴いた後、「未来からの鼓動〜ウドゥ・ヴドゥ」を聴いてほしい。剛毅なるベーシスト、ヤニク・トップのベースがうなりまくり、面妖なるファンク宇宙が眼前に広がる。
ライヴ・アット・ザ・レインボー

ライヴ・アット・ザ・レインボー

シメはフォーカス「アット・ザ・レインボー」。キング・クリムゾンはじめ、究極的存在のアレアやマグマのごとく、プログレには難解というイメージがつきまとうが、実のところ、ロックは「芸能」。見世物興行として、曲芸的なテクニックや演劇風のステージで観客の耳目を奪ったからこそ、今に至るも人気を語り次がれているワケで。オランダのフォーカスはその典型バンド。ボーカル&フルートのタイス・ヴァン・レアが「ライララライララ、ラッハハッハ♪」とノー天気にヨーデル歌いあげる「悪魔の呪文」は、プログレこそ「笑える」ロック、音楽だというコトを確信させるチョ−名曲。ギタリストのヤン・アッカーマンはじめ、演奏は極めてシリアスで、アルバム各作で披露した音楽の幅は広く多彩だが、まずはそのパフォーマンスを楽しみたい。


……いかがだっただろうか? 土曜日、某所にて、「ソフト・マシーンを聴いているのにピンク・フロイド『狂気』もキング・クリムゾンも聴いたこともない」青年と会い、衝撃を受けたのがきっかけで、まずは彼ひとりへ向けて、一気呵成に書き上げてしまった。
自らも「再学習」すべく、僭越とは思いながらも、プログレ入門コラムを一席御披露。お粗末さまでした。。。


<関連記事>
ピンク・フロイドhttp://d.hatena.ne.jp/hibiky/19701001
キング・クリムゾンhttp://d.hatena.ne.jp/hibiky/19691010
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VDGG&ピーター・ハミルhttp://d.hatena.ne.jp/hibiky/19480101
ピーター・ガブリエルフィル・コリンズhttp://d.hatena.ne.jp/hibiky/19500513
……手前味噌ながら、某友人とのヨタ話を採録・構成したモノです(<マジ)


*1:……話が大きくなるので別の機会にするが、「基本」つうか「定番」をおさえずして、モノの真価は到底わかり得ないと断言しよう。自分が天才と思い込んだり、「個性的」であろうとするのは簡単だが、そこで安易に流れてはさらに上の段階には進め得ないのである。オレにとっての天才の代名詞・カツシンでさえ、原点は徹底した王道の「芸」の習得にあった。歌舞伎の大御所らの至芸を間近で見まくって、我が身我が手で「芸」の真髄を努力して体得したのである。野球選手ならプロアマ問わず毎日素振りを自然と繰り返したりするように、音楽聴くコトでも同じで、「基本」は大切。それを見定めるには、教えられたモノをとりあえずは聴く、といった姿勢も重要になってくる。少なくとも、「見識」というモノは、そうした経験をおのれに課すコトによってしか得られない。

*2:『スピード』のデニス・ホッパー青野武の口調で

*3:エイドリアン・ブリューがバンドの看板となっているかぎり、「太陽と戦慄」時のクリムゾンの再来となどとは到底思えない。ブリュー自身は正味の話が現在ではフリップ以上のミュージシャンと思うが、クリムゾンを名乗るべきではなく、それをフリップに許してしまっている時点で、音楽家としての評価を確実に下げてしまっている。どうせならフリップを駆逐してでもキング・クリムゾンを名乗ったほうが姿としては潔くはないか? そういうコトはしない飄然たるスタイルが彼の持ち味ではあるんだけど、今のクリムゾンの姿は見るだに、歯がゆい。

*4:慶応大学に入った高校の同級生に聴かせたら、「ひとりよがりで偏屈っぽい音楽で好かない」と実に正しく、かつ思い上がりな世界認識の返答があって、以来、そいつと絶縁状態になったのを思い出す。ヤツはアルフィーのファンで、彼らの元ネタが洋楽にあるコトがモロわかりになっていたオレは、仕返しとばかり、彼の“幼稚な”趣味を鼻で笑った。慶応は学内の雰囲気がワセダとは違うのか、仲の良かった同級生でも入学した途端、妙にサラリーマン社会に迎合しきったライフ・スタイル、いわゆる「勝ち組」思考/志向が目立つようになり、ほぼ全員と疎遠になってしまった。まぁ、単純にはオレが人生負け組だからだろうが。