マカロニ・ウエスタンは革命をうたう 

1.『群盗荒野を裂く』 ダミアーノ・ダミアーニ
2.『ガンマン大連合』 セルジオ・コルブッチ
3.『夕陽のギャングたち』 セルジオ・レオーネ

勧善懲悪なハリウッド西部劇とはちがい、マカロニ・ウエスタンはしばしば革命の嵐吹き荒れる近代メキシコを舞台に、欲に狂う男どもを描いた。この3本はマカロニの傑作だが、同時に革命の映画でもある。
なかでも、セルジオ・レオーネ『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』で名高いイタリアの名優ジャン・マリア・ヴォロンテの主演作『群盗荒野を裂く』は「見ずに死ねるか!」級の大傑作。謎めいたインテリ青年紳士との道行きの末、革命の志に目覚める無頼漢がクライマックス、道ばたの少年に高らかに告げる言葉が胸を打つ。

「いいか、これでパンを買うな! ダイナマイトを買え!」

……ちなみに、ヴォロンテは名匠フランチェスコ・ロージ作品の常連としても知られる骨の随まで社会派な俳優。『荒野の用心棒』撮影中もクリント・イーストウッドに政治議論をふっかけたりして困らせていたそうな。イーストウッドは先日久々の来日時もわざわざ石原慎太郎と会って話題を呼んだりと、政治的にはタカ派な男、左翼リベラル思想に染まったインテリ俳優との会話には難渋したらしい。
『ガンマン大連合』もネタ的にかぶる一作。エンニオ・モリコーネの手になる、スキャットを絶妙に用いたオープング・ソング、聴くたびに胸高鳴る。

「♪やっちまえ! やっちまえってンだ、同志たちよ!」

わが偏愛作にして究極の男気映画『夕陽のギャングたち』についてはいずれまた改めて。。。