「ゲバラ日記」(みすず書房刊)、出版者の序より、1965年、ゲバラ、カストロへの訣別の言葉から。
「私は新しい戦場に、もっとも神聖な義務を果たそうとする感情を携えてゆく。……言葉は私が望むことを表現しえない……」
南米奥地のジャングルで、持病の喘息に苦しみながらゲリラを率い、決死の行軍を続けた永遠不滅の革命家ゲバラ。
リチャード・フライシャー監督によるドキュメンタリータッチの伝記映画『ゲバラ!』(69年)は、全編喘息のぜい鳴がサウンドトラックで鳴り響くという、見てるだけで息苦しくなる異色作であった。ゲバラ役はなぜかアラブの貴公子オマー・シャリフ。カストロは怪優ジャック・パランス(!)両人とも、何気にフライシャー作品でも印象的な起用が目立つ。
冒頭、天空から降りきたるゲバラの姿が神々しいまでの異様な迫力。フライシャーがどんなジャンルでも撮りきってしまう器用な職人監督などではなく、主人公と物語に完璧に依拠した演出と話法を体得していた偉大なる映画作家であることを垣間見せてくれる野心作でもある。DVD化すべし!
- 作者: チェゲバラ,Ernesto Che Guevara,平岡緑
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追記。ところで、今日ってキューバ危機勃発の日だそうですね。カストロが壇上でこけて骨折したのは知ってたけど、ゲバラをネタにしたのは偶然です。