「SMiLE」:ブライアンに、ニッコリ。

一言で云えば、「ペット・サウンズ」を初めて聴いた以来、盟友ヴァン・ダイク・パークスとの競演作「オレンジ・クレイト・アート」以上の感動作。実は近年の作品はブライアンの不安定になったボーカルとか、やや安直なアレンジが気に入らず、新譜「ゲティン・イン・オーヴァー・マイ・ヘッド」も試聴したのみだったのだが、コレは素晴らしい! 
「SMiLE」オリジナル録音は御多分にもれず、ブートで聴いているが、音が未完成だっただけに「意図」がなんとなしに感じられたくらいで、、正直とても感激なぞできなかった。この再構築盤はそんなオリジナルの悪しき記憶と印象を軽く吹っ飛ばす、完成度と気概に満ちている。最も懸念されたブライアンのボーカルもしっかり耳に突き刺さる。オリジナル録音をなるべく忠実に再現したというアレンジは云うまでもなく玄妙の極致、開けてびっくり音の玉手箱。一音一音に才気がきらめいている。まさに、あの歴史的名作「ペット・サウンズ」を世に出した鬼才ブライアンならではの作品だ。コレは愛聴盤になりそう。今年度ベストワン決定!
ソフト・マシーン「4」は実はCDでは未聴(テープでは持ってた)だったので、こちらも嬉しい確保。ロバート・ワイアットとヒュー・ホッパーのリズムセクション、マイク・ラトリッジによるひずんだキーボードが絡み、うねりまくる、挑発的で眩惑に満ちた音世界、コレぞジャズ・ロックの極致。よく云われるコトだが、ジャズ導入の本気度ならキング・クリムゾンなぞも軽く凌駕してるソフツ。良くも悪くもロバート・フリップの意図にばかり気がいきがちなクリムゾンと違い、ソフツには聴き込むごとに感慨が深まる趣きあり。ワイアット脱退後は単に演奏至上主義というかフュージョンに傾斜する一途で、ロックとして聴くと面白みはないが、この4枚目までのインタープレイには、なんつうか、「思想」を感じる。聴いてるだけで、周囲の空気が研ぎすまされる感じ。まぁ、泣きのメロディや歌詞世界が素晴らしいとか、わかりやすいコンセプトには欠けるので、頻繁に聴けるモノではないんだが。マッチング・モウルも買いだが、たぶん後回し。旧譜はいつ買おうがイイのも気楽だね。