司馬遼太郎「坂の上の雲」、初映像化プロジェクトの行方や、いかに?

ひとつ懸念されるのは、氏が脚本家に決定していたNHKによる久々のスペシャ大河ドラマ司馬遼太郎坂の上の雲」はどうなるのか? ってコト。
個人的には、司馬遼自身が構想・調査・執筆に10年もかけた(ハズ)渾身のライフワークをキッチリ映像化するには野沢氏だろうが誰だろうが間違いなく力及ばす、と思っていたので、今回の事件を不幸中の幸いとし、いっそ製作中止にしてもらえればありがたい。
むろん、暴言であろう。だが、あえて云う。
三谷だのジェームズ三木だのにバトンタッチするコトはたぶんないと思うが、近年ドキュン度増大なNHKのコトなので不安は高まるのみ。
ちなみに、過去に司馬遼作品に関わった脚本家は、小山内美江子長坂秀佳竹山洋田向正健といった面々。コレに中島丈博なんてあたりが参入してくる可能性もあるか? などとさっき思いついたんだが、それはないか? 無意味に「濃い」だけって話もある人だしなぁ(苦笑)ワケワカな新人にやらせることはしないと思うけど、はたしていかなる人選をするのやら。


坂の上の雲」はその資料性の高さゆえ、日露戦争研究においてはいまや国が認める「定本」である。国民的歴史小説を安易な映像化で汚さないでいただきたい。生前の司馬遼が映像化を許さなかったのは、まこと大英断だったと思う。
目下芸能界で、秋山真之正岡子規のごとき雄々しく気高き明治男児を演じられるような俳優はどうにも見当たらない。秋山真之はまたぞろ本木雅弘、はたまた浅野忠信あたりにやらせる気かね? いや、『武蔵』のリベンジで市川海老蔵がやるかな? 正岡子規中村獅童か?…まぁ、コレならありか。
キャスティングだけなら不可能なんざ、ないだろう。
仮に「アリかも?」という勝手妄想キャスティングしてみるか。ひとりでも当たったら御喝采
秋山真之市川海老蔵秋山好古香川照之正岡子規中村獅童東郷平八郎仲代達矢乃木希典:松本孝四郎/大山巌中村吉右衛門児玉源太郎竹中直人/伊地知幸介:佐藤浩市明石元二郎渡辺謙広瀬武夫真田広之/杉野兵曹長オダギリジョー小村寿太郎小林薫伊藤博文田村高廣山県有朋佐藤慶桂太郎津川雅彦山本権兵衛菅原文太明治天皇片岡仁左衛門夏目漱石田口トモロヲ(ナレーターも!)
……あ、いかん、楽しくなってきた(爆)。
梨園の面々を使えば、それなりに格調くらいはかもしだせようし、大体からして、「あの歴史上人物を誰が演じるか?」と想像する作業自体はおもしろい。それでも、誰がやろうと、違和感を覚えずにはいられまい。問題はそこなんだぁな。
致命的なのは、脚本家と演出家の不在だ。役者がいかに踏ん張れど、それを活かしきる人間が見当たらないのだ。
追記&訂正。
上記の妄想キャスティング、見直してて、やはり秋山真之正岡子規の主役ふたりが若すぎるかなと。市川海老蔵中村獅童の顔合わせが見てみたかったんで、つい。同じ「市川」つながりで兄弟やらせたいというアイデアで、秋山好古香川照之に、なんて考えたんだけど、梨園つうか猿之助筋がこういうの、許さないですかな? 
うーん、香川さん以外は特に好きでもナンでもないのに、ムリムリ「当て」に行ってしまった<当てる気だったのかよ! 
梨園出にこだわる必要なんざ全然なかったんだけど、NHKだし、とにかく格調にこだわるかなぁ、なんて邪推したんだが、正直どうなるかわからんよね。
となれば、『ラスト・サムライ』の栄光再び! ってコトで、渡辺謙真田広之コンビで秋山兄弟やらせるとズバリ、キマるかも。で、正岡子規香川照之ってなどうです?
あるいは、秋山兄弟は役所広司渡辺謙ってのもアリかな。日露戦争当時、兄弟はそれぞれ47歳・37歳、写真を見るかぎり、彫深く眉目秀麗な美男子だったので、よろしいんじゃないかと。でも、この配役でも、正岡子規香川照之ってのは、譲りたくねぇなぁ。妄想でもこだわるトコはこだわります。つうかさ、この配役ぜったいハマると思うんだけど、どうよ、どうなのよ>NHK 取り上げてくれたら受信料払ってやってもいいぜ!<払えよ!  


映像化するのであれば、ドラマ化するよりも、作品の背景を綿密に検証したドキュメンタリーをロシアと共同で制作してもらいたいとも思う。NHKは世界に誇る映像大作『映像の世紀』を世に出したではないか。あのスタッフは適任ではないかと。 
あるいは、絶対にドラマ化にこだわるというのであれば、もぅ実写の人間には頼むな。アニメにしろ、アニメに! 間違いなく、そのほうが出来映えとして「精度」はあがるハズだ。
思い切って、セカイの宮崎駿に監修をお願いするというのはどうかね? まぁ、コレはさすがにサヨクだからダメか。嫌いだけど、戦争ものということで、押井守ってテもあるぞ。ポジションはあくまでも、<監修>が適任だろうけどな。
とにかく、この軽佻浮薄な平成の御代、文字どおり<ラスト・サムライ>だった明治男を演じたり、演出できる人材なぞ、TV界にも映画界にもまず存在しない。昨今の大河ドラマのていたらくを見ればわかるではないか。
何度でも云う。オレが敬愛する司馬遼太郎の世界を汚すのだけはやめてくれ。そう思うファンは日本中にいるハズだ。



※07/01/18追記:当時はNHKの番組や局の姿勢にうんざりしていたため、いま読み返すと我ながら書き方がキツいように思う。予想したとおりのキャスティングになったことだし(?)、とりあえず期待する。