ブギ浮きイカす邦題100選<その1>+駄目ジャケ100選<その6>:フランク・ザッパ「ハエ・ハエ・カ・カ・カ・ザッパ・パ」

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原題: 「The Man From Utopia」
直訳:楽園から来た男ロジャー・コーマン映画あたりのB級SFテイストが狙い?)
乖離度:★★★★★(ぜぇんッぜぇんッ関係あれへんやん!)
難易度: C松本人志の『一人ごっつ』じゃあるまいし、邦題がジャケにボケてどうする?)
フランク・ザッパの国内盤はイカす邦題、やりたい放題。ま、担当者がいくら悪ノリしようが、常にそれ以上のバッド・テイストでもって、ザッパ御大はポンニチのリスナーに常に衝撃を与えてきたワケだが。
原題は「The Man From Utopia」。1983年作。現行盤は「マン・フロム・ユートピア」の題名で出ている。
ザッパのジャケットはヒトを喰った……なんて云うと聞こえよすぎ、ハッキリ云って悪趣味全開、駄目ジャケ炸裂なんだが、本作のジャケはきわめつけにヒドい。ザッパ御大がランボーコマンドーも石坂マッツァオ*1な筋肉ムキムキ姿でステージに仁王立ち、ギターへし折り、手にしたハエたたきで蚊を蹴散らすという大魔神ぶり、すさまじいけどワケワカんねぇ。
82年イタリア・パレルモ公演で観客が暴動、警官隊が催涙弾ぶちこんで客席もステージも白煙もぅもぅ、客もバンドも咳が止まらずげほッごほッてな、大惨事が元ネタらしいが、わかんねぇっての、そんなの!
ジャケは駄目だが肝心なのは中身。モロ出し中出しバリバリのザッパ・ミュージックに駄作なし! 毎度おなじみバカバカしくも痛烈無類な歌詞以上に、極楽魔境、所かまわぬ超絶技巧演奏で突っ走る。サイドギターは若き天才スティーヴ・ヴァイ、ベースはアーサー・バーロウ&スコット・テュニス、ドラムはチャド・ワッカーマン、パーカッションはエド・マン
脳天かかと落としと金的攻撃を笑いながら同時寸止めされたような、目の前で特出しされたはいいが何やら剛毛が目に入っただけなような、派手ながら随所ビシバシ、キメにキメたガチ・サウンドが、耳からつるつるズルズルと入ったハシからすり抜けていく。それぐらい、ヤバいワザキメてるのに、一聴シンプルでかっちりした演奏だってコトよ。まぁ、ザッパを初めて聴くヒトには、入門盤としては絶対オススメしないけどね。
内容的には同じメンツによる前作フランク・ザッパの○△□」(ひでぇな、コレも!)こと「溺れる魔女と救い出すのが遅すぎた沈みかけた船」(直訳ってのもな…)のほうが親しみやすいポップな楽曲+複雑怪奇な超ウルトラ級演奏が楽しめるので初心者にもオススメだが、ジャケの迫力ならザッパの数ありすぎな作品中でも本作は突出。みうらじゅん云うところの、「いやげモノ」だもんな、マジ。

ザ・マン・フロム・ユートピア

ザ・マン・フロム・ユートピア



*1:笑福亭鶴光オールナイトニッポン』のネタ……誰もわかんねぇだろうな(爆)