プロちゃん・グレたんの雨ニモ負けず風ニモ負けず大放談!:第6回「ピーター・ガブリエル&フィル・コリンズ特集」

プロ:プロですッ!
グレ:グレですッ!
プログレ:ふたり揃ってプログレです。
グレ:何かと云うと正統派ロックファンにバカにされがちなプログレを、ヨタでまぎらせ、大いに語るという企画続行中です。
プロ:まぁ、しょせんプログレなんざ笑い飛ばしてナンボのモンですわ。アホがやってる音楽やさかい。
グレ:こらこら! つうわけで、今回はジェネシス番外編、ピーター・ガブリエルフィル・コリンズです。
プロ:どっちもハゲですッ!
グレ:おどれも前髪ヤバいやないけッ! さて、ジェネシス時代かぶりモンで一世を風靡したピーガブが、脱退後3年を経て発表したのがデビュー作「I」(77年)

I(紙ジャケット仕様)

I(紙ジャケット仕様)

プロ:……コレ、自動車でガス自殺しとるん?
グレ:云うにコト欠いて、貴様! 「車内から降りしきる雨をひとり眺める」の図やないかぃ! ヒプノシス様のデザインや、ナメたらあかん。
プロ:ネクラどころやあらへんで! 栄えあるデビュー盤からホラー映画みたいなジャケで登場しやがって! 顔見てみぃ、ゾンビやんけ!
グレ:プロデュースはボブ・エズリン。
プロ:アホみたいに大仰なアレンジや。「Solsberry Hill」しか聴けるモンなし。シングルカットされた「Modern Love」はPVがアホアホやったな。「Here Comes The Flood」なんて曲は凄くイイのにゴテゴテとオーケストラとか重ねて最悪! コレよりもロバート・フリップのソロ「Exposure」に収録されたバージョンが最強最高。
グレ:「Modern Love」って、ガブがアイスホッケー選手みたいな格好してのたうち回るヤツ(笑)で、セカンドは「II」(78年)

II(紙ジャケット仕様)

II(紙ジャケット仕様)

プロ:指から光線かよ! いや、ガラスを逆向きにひっかいてるの、コレ? 目つき悪すぎ。ヤクでもやってたんじゃねぇの? ホント、意味不明なジャケ。
グレ:時間ないから裏通りで撮影しました、みたいな風情。プロデュースはロバート・フリップ
プロ:キング・クリムゾン始動させるまでの空白期、さすらいのフリップ卿混乱と横暴の時代。ニューヨークあたりで仕入れてきた付け焼き刃のひねくれたポップソングを押しつけまくり。「Exposure」とかガブに唄わせる曲じゃねぇよな。
グレ:たしかに、地味なアルバムだ。で、サードは「III」(80年)

III(紙ジャケット仕様)

III(紙ジャケット仕様)

プロ:うぉッ! 顔が溶けてるぅッ! 恐怖奇形人間かよ! 
グレ:ジャケはともかく、コレは名盤でしょ。プロデュースはスティーヴ・リリィホワイト、エンジニアはヒュー・パジャム
プロ:天下無敵のゲート・リバーブ・エコー! ドラムの音がやたらズシッ、ドカドカッ、硬質で耳に突き刺さる感じ。ギターの音もメチャ金属質、全体にメタリック。コレだけビートが効いたアルバムは当時なかった。歴史的名作だわな。ドラマーはフィル・コリンズジェリー・マロッタ、モーリス・パートってすげぇメンツ。タダでさえ太鼓聴かせまくり!
グレ:「Games Without Flontiers」ケイト・ブッシュがコーラスやってる。PVが面白かった。
プロ:赤ちゃん人形がクルクル回って、ガブが四つん這いでハイハイする(爆)ホント、演技しないと自己表現ができないヒトなんだな。かぶりものとか、戯画化とか。
グレ:翌年、フィル・コリンズもソロ・デビュー。「夜の囁き(Face Value)」(81年)

Face Value

Face Value

プロ:うわッ! どアップや! キショい。キユーピー人形みたいなツラ、押し付けるな! 
グレ:子役出身だし、何気に顔に自信ありまくり(笑)
プロ:聴きやすい、親しみやすい曲ばかりだけど、アレンジがいまいち。「夜の囁き(In the Air Tonight)」くらいしかマジで聴けるモノないんじゃね? コレは題名もナイスだけどね。「囁き」って漢字、コレで覚えたよ。そういや、日野啓三の小説で引きこもり少年がこの曲をずっと聴き入ってるって名場面があったな。この頃まではガブ同様、フィルもネクラ御用達アーティスト。
グレ:ホーンセクション使ったり、ソウルっぽいのもあったりして、売れ線狙いは見え隠れ。この頃からフィルとガブの活動がかぶりだしてオモロイ。ガブは翌年、「IV」(82年)を出す。

IV(紙ジャケット仕様)

IV(紙ジャケット仕様)

プロ:うわッ! ガマガエルや! 顔がへしゃげてる! ゲロゲーロ。
グレ:このジャケはマジでダメダメ。売ろうと思ってない(笑)音は前作以上にデジタルバリバリ導入、当時は間違いなく最先端。
プロ:WOMADを設立した頃だな。アフリカン・リズム導入とか、エスノポップ路線に本格参戦。音の城壁がそびえたつって感じの、ガーンって来る低音部が今聴いてもすげぇ。まぁ、いかにも80年代な音なんだけどさ。コレまた何気に名作。ガブが初めてサントラやった映画「バーディー」アラン・パーカー監督)でも曲がかなり流用されてる。
グレ:「ショック・ザ・モンキー」とかPVも最高だったね。コーラスにピーター・ハミルが参加してたりするし。
同じ年にフィルが出したセカンドはガブとは全然違うノリノリポップなアルバム。「心の扉(Hello, I Must Be Going !)」

Hello I Must Be Going

Hello I Must Be Going

プロ:ひでぇ邦題(笑)。ナンでもいいから詩的なイメージを出そうと必死。この横顔ショットもなんだかなぁ。曲調は別に暗くないのに。メインがシュープリームスのカヴァ「恋はあせらず」だからな(笑)。PVでもひとりで唄い踊りまくり。こいつ、ホントに唄うのが好きなんだろうな。おとなしくドラムだけ叩いてろってぇの!
グレ:サードが「ノー・ジャケット・リクワイアド(No Jacket Required)」(83年)

No Jacket Required

No Jacket Required

プロ:うぉッ、首なしフィルが闇に浮かんでるッ! 恨めしい目つきすンな、ボケッ! 邦題もカタカナ処理、全然やる気なし! 却下!
グレ:シングルカットされた「ワン・モア・ナイト」が超ヒットしたとは思えない不気味さ(笑)ガブより先に全米ヒットチャートの常連になっちゃった。
プロ:そういう成り上がり根性が、「平民」の卑しさや。少なくともガブはそう思ってたハズや。ワイかて、ヒット曲くらい出そう思ったら出せるンじじゃッ! てな。
グレ:貴族が「ワイ」云うかぃ! でも、翌年ガブも超ヒットしちゃった。それが5作めだけど「V」じゃない、「SO」(86年)

SO (紙ジャケット仕様)

SO (紙ジャケット仕様)

プロ:メタモルフォーゼの極致を見せたPVともども、80年代を飾る超名曲スレッジハンマー! 全曲捨て曲なし、一家に一枚の名盤や! ジャケもようやくりりしい素顔で登場したで、ワレ!
グレ:河内弁で紹介するなってぇの!
プロ:しかし、両者ともガブもフィルも、実質、語るべきなのははココまでだな。
グレ:フィルは着実にヒットシンガーになって、ジェネシスも脱退しちゃった。あのツラ下げて、ディズニー映画の主題歌唄うんだもん。参っちゃうよ。
プロ:サウスパークでは腐ったシンガー扱いでボロクソに叩かれてた(笑)フィルの最近の経歴は無視むーし、おつかれさまでした!
グレ:ガブはオリジナルを「US」(92年)「UP」(03年)、と2枚、あとはサントラとかコンセプトアルバムを出したけど、語るほどのネタはないね。全部、昔やってたコトの焼き直しだもんな。
プロ:オモロいコトやってみせてくれてるのは、ライヴステージくらいだな。
グレ:結局、ジェネシスの終焉と共に、ふたりの全盛期も終わったんだろうな。じゃ、最後にほかにオススメアルバムなど。
プロ:マーティン・スコセッシ監督の問題作のサントラ盤「パッション」(89年)。ガブのエスノポップ路線の集大成。音楽的にはフィルは結局ガブ以上に聴き込んで面白いアルバムは残してないなぁ。ジェネシスのライヴビデオで「Home By The Sea」の演奏場面とか見るのが一番じゃないっすか?

パッション-最後の誘惑

パッション-最後の誘惑

グレ:なんだか偏りありまくりなまとめ方だなぁ……。
プロ:エエやないかぃ! ガブもフィルも、一時代築いたヒトやけど、老兵は消え去るのみ。しょせん人生、そんなモンよ!
(つづく)