『座頭市物語』第2話「子守唄に咲いた女郎花」

ゲストは玉緒さんと坂上忍ほか。

座頭市勝新太郎
おしの:中村玉緒
伊之助:江原真二郎
鬼辰:小松方正
太郎吉:坂上忍
代貸し政吉:今井健二
乾分 岩松:畠山麦
乾分 権次:暁新太郎
乾分 寅吉:北野拓也
お松:小柳圭子
弥平:南部彰三
忠七:小鹿番
農家主人:中村是好
ほか
原作:子母沢寛
脚本:直居欽哉
監督:黒田義之
音楽:富田勲
制作:勝プロ/フジテレビ

上州草津座頭市勝新太郎)は、湯治客や飯盛女郎のおしの(中村玉緒)に柿を売り、病気の祖父弥平(南部彰三)を養う少年太郎吉(坂上忍)と仲良しになった。話は変わるが、市がおしのの肩をもみながら、三十両ほどならいつでも持っていると嘘をついたことから、土地の親分鬼辰(小松方正)の賭場に誘われる。鬼辰一家の子分伊之助(江原真二郎)のイカサマを看破した市は、難なく三十両を得る。三十両の金があれば祖父の薬も買えると、喜び勇んで帰る太郎吉の姿に市は嬉しくてしょうがない。しかし、せっかくの市の親切も無駄に終わった。「太郎吉を高崎まで連れて行ってほしい」という遺言と、一つの包みを残して弥平は死ぬ…。
 盲目の市には読むすべもなかったが、包みの中身は、太郎吉のほぞのお書きであった。実は、太郎吉は、高崎一の絹問屋「万屋」の落し胤であったのである。太郎吉を連れた市の子供旅がはじまった。道中には、途中から、おしのに伊之助という思わぬ道連れが加わる。代貸しの政吉(今井健二)に賭場で市を勝たせたへまを厳しく追及された腹いせに、鬼辰の経営する女郎屋から、三年越しの仲のおしのを足抜けさせたのである。どこでおしのと世帯を持つにしてもまとまったものがいる。太郎吉が“金づる”になると知り小悪党の伊之助は、市を出し抜こうと虎視眈々。
 おしのには、いつしか母性愛のようなものが芽生えた。女郎に売られてくるからには、市同様、幼時の記憶もどうせ幸福とは無縁であろう。「この子だけには、そんな惨めな思いはさせてはならねえ!」と、しみじみと話す市の言葉は、ばくれん女のおしのの心をゆさぶるに十分であった。