温故知新。

ハリー・スミス プロジェクト: アンソロジー・オブ・アメリカン・フォーク・ミュージック・トリビュート(2DVD付)

ハリー・スミス プロジェクト: アンソロジー・オブ・アメリカン・フォーク・ミュージック・トリビュート(2DVD付)

今さらですが聴いてますよレンタルだけど(汗)ハル・ウィルナーの企画作にハズレなしですな、素敵です。
まぁでも、マニアほどメンツ自体にも演奏にも、想像以上の驚きはないような気もする。クルト・ヴァイルもの(「星空に迷い込んだ男〜クルト・ワイルの世界」「9月のクルト・ヴァイル」)とかなりかぶってるというか、配役(?)&構成が似てるし。どんな企画でも、自然と自分のカラーが色濃く出てしまうというのが、いかにも名プロデューサーらしい。
個人的にはベス・オートン、ロビン・ホルコムなんて新顔(?)系の女性陣に注目。気負いのない歌いっぷりがすがすがしい。クルト・ヴァイルものでトリとってたチャーリー・ヘイデンの娘ペトラ・ヘイデンがシメてるのも面白い。縁起かつぎで再演したのかな?
ウィルナー作品ではおなじみのヴェテラン勢は誰もが堅実そのものの好/巧演。リチャード・トンプソンあたりは昔からトラッドやってるせいもあって、驚きは一切なく、すんなり聴けてしまいすぎでかえって物足りなかったり。そのなかでは、エルヴィス・コステロの熱血ぶりは印象に残る。何が何でも自分の曲にしてしまうような勢いがあるといいのかも。ブルース・スプリングスティーンピート・シーガー・セッションズ」が感動的だったのも、ボスならではの燃えたぎるような熱唱があったからだし。フォークだろうがナンだろうが、オレの歌にするんだ、という気概が聴き手を感動させるというか。
そこいくと、ニック・ケイヴとかはちとクサい感じもするんだけど。メチャクチャなたとえかもだけど、なんだか京本政樹を思い出してしまい(爆)『必殺仕事人』ファンならわかってもらえまいか?、、、もらえぬな。濃いぃキャラのヤツが悪い、というのではなくて、ケイヴよりもっと濃縮オヤジなデイヴィッド・ヨハンソンやデイヴィッド・トーマスは絶妙にハマってるから、やっぱり当人の資質の問題かと。
それにしても、楽曲が古風だと歌い手も古色蒼然とするんですかねぇ? ベックのナンバーなんて最初聴いてて、ヤツとわからなかったっすよ! ベックがナニやらせてもハマるタイプであるという以上に、楽曲そのものの力が大きいんでしょうな。ヤツが器用だからとか、そういう具合に片付けられない良さがあるんですよ。
反面、ウィルコはカヴァーやってるとは思えなかったり。ジェフ・トウィーディって元々の気質的に、古くさいというのとはまた違う、年代物系の枯れた味わいが強みなんだろうなぁ。エラいなぁ。
追記。自分はCDから聴いてみたが、構成から考えると、DVDを見てから聴いたほうが断然とっつきやすくていい感じ。正直、上で書いた印象も若干変わったので、いずれ訂正する予定。