ボビー・プレヴィット「ボビー・プリバイト/ヒュー・アンド・クライ」

ヒュー・アンド・クライ

ヒュー・アンド・クライ

パーソネルの表記からしてあやしい。ライナー担当の高井信成氏って、「スイング・ジャーナル」関係の方らしいが、レコード会社が出したプレス資料に自分勝手でテキトーな感想くっつけただけという風情。
発売は1994年暮れ、インターネットなんてまだないし、ニューヨークのジャズシーンの情報は入手しづらかったのもわかるが、この人、ニッティング・ファクトリー周辺のジャズ・ミュージシャンの作品は個人的に「音楽としての成熟度にまだ物足りなさがある」なんて書いてる。要するに、プレヴィットや彼がつくる音楽に対して、特段、思い入れも何もなかったワケだが、そんな人にライナーを頼む宣伝担当の神経がわからん。発売当時、定価で買った人はどう思ったのやら? オルガンのラリー・ゴールディングズの名前ばかりフィーチャーしているが、彼のプレイが目立つのは前半くらい、大半はマーティ・アーリック&ドン・バイロンらファクトリーの管楽器隊が大暴れしてるのに。そんなの素人が1回聴いただけでわかるやんけ! 高井某、ホントに本作を聴いて書いたのか??、、、とまぁ、そんな具合にいちいちツッコミ入れたくなり。
個人的にはライナーノーツは、基本的には「解説」に徹するべきと思う。書き手個人の見解なんぞ無用。それよりも、プレス資料やネットでも知り得ないような、ミュージシャンおよびレコーディング等にまつわるそこでしか読めない「情報」を徹底して入れこんで欲しい。そのうえで余裕があれば、自分なりに紹介文句を書きつらねてくれたらよろしい。理想的にはアーティスト本人について衆目一致するところの「権威」に書いてもらうのが一番では。ミュージシャン本人と直接知己もあり、我々素人リスナーじゃ入手できないような情報も書いてくれるような、そんな人材がふさわしいのでは、と思うワケですな。
そういう意味では、こないだのデイヴィッド・トーンのライナー(佐藤英輔氏)もかなりひどかった。プレスかネットか知らないけど、資料丸写しなのバレバレで、何の役にも立たなかった。わざわざ国内盤を買った意味なかったよ、マジ。<じゃずじゃ>の紹介記事で充分だったもん。
とにかく、こうしたライターや評論家と名乗る人たちのふざけたライナーが目立つのは、彼らを書き手に選んでしまう各レコード会社の担当に、まず責任がある。おそらく、単純に不勉強で努力不足すぎるんだろう。てめえが見てソツない文章と思えればイイってモンじゃないんだよ! ユーザーを納得させ得るレベルのモノじゃなきゃダメなの! 
いやはや、「適材適所」って言葉を一から頭に叩きこんでもらいたいモンですよ、まったく。