ホキ徳田『怪談昇り龍』(石井輝男監督)

エログロナンセンスが縦横無尽に横溢する異形の祝祭空間、石井テルヲワールドの権化のごとき、異常性愛ちょいまぶし任侠スリラー。ヒロインの梶芽衣子以下、佐藤允内田良平加藤嘉、そしてゲストに何の必然性もなく土方巽ホキ徳田が登場するという、ワケワカB級オールスターキャスト。上記のセリフは後半登場する渋めの流れ者役、佐藤允に向けてのモノ。
ま、観客の度胆抜くのは、シルクハットの一張羅、グラサン姿で決めながら、下はなぜか下は赤フン一枚(!)ひらひらさせてガニマタ闊歩……てな一度見たら忘れられない無茶苦茶な格好で登場する内田良平
でも、そんな良平にほかの野郎どもには夜叉のごときけんもほろろな扱いのホキ徳田が、なぜか一言。

「あんた、においは悪いが、いい人らしい」

ホキ徳田、容姿は典型的オリエンタル美女すなわち平安時代系女性でどうもグッとこないのだが、声はめちゃくちゃたおやかで深みある美声。そんな声でほめられたとあっちゃ、良平ならずとも「えへへへ」と頭かいてしまうってモンなんである。