「要するにだな、『情熱』ってェヤツだ、あァン? 『情熱』! オレぁな、この言葉にしびれるんだ。なんつっても、こいつがねぇヤツはいけねぇ。男として認められねぇもんな。オレたちの稼業にゃ、コレがなくっちゃ生きていけねぇやな。え、どうでぇ、きょうでぇ? あんたらにもあるだろ、情熱ってヤツがよ……」
満面に笑みたたえて、得々とベシャるカポネに扮するデ・ニーロ。*1
「情熱、情熱。ふむふむうんうん、いい言葉だ」なんてエラそうにうなずいてるニヤけた男が座にひとり。
突然形相変えたデ・ニーロ、いきなり手にしたバットぶんまわし、そいつの脳天をガツンと一撃、ぐしゃぐしゃに。
……デ・パルマの今に至るキャリア降下を決定づけた正直駄作な『アンタッチャブル』だが、老練狷介、タフなアイリッシュ男児ショーン・コネリーの老警官のあまりのカッコ良さに皆ほれぼれ、ケヴィン・コスナーの一本調子なあさはか演技*2、デ・ニーロのオシとアクだけ出まくった蒸しむしキャラも意外や気にされず、作品はヒット。オレも今でこそ悪口書きたくなるが、ビデオで見てから文芸座でたしか2回も見たし、嫌いじゃない。デ・パルマらしい、下世話でバカバカしい細部に満ちた娯楽映像だと思う。デ・ニーロがもったいぶった口調でつぶやく、「enthusiasm!」という言葉、耳に残る。
ちなみに、アル・カポネ本人が出てくる映画はけっこうあるが、オレ的には実録ドラマでは男気大将スティーヴ・カーヴァー大兄の『ビッグ・ボス』(75年)が傑作と断じる。若き日のスライもといスタ公いやシルヴェスター・スタローンがカポネを手玉にとってのしあがる切れ者幹部フランク・ニッティ役でサイコーなんだ。ん? フランク・ニッティって誰だって? 『アンタッチャブル』でカポネの殺し屋やってたあの憎々しいヤツだよ。おととい来やがれってんでぃ!
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あとはロジャー・コーマン親分の『マシンガン・シティ』(67年)だな。悪名高い<バレンタインデーの大虐殺>をキッチリ再現した実録ドラマで、名優ジェイソン・ロバーズがファナティックなマフィアを熱演してて、コレもいい。
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しかし鈴木清順の『カポネ大いに泣く』(85年)では……おぃおぃ、チャック・ウィルソンだったのかよ!? すげぇメチャクチャなシャシンだったし、ジュリー以外、覚えてねぇや。
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