宮崎駿『もののけ姫』

「『風の谷のナウシカ』から13年、宮崎駿の凶暴な情熱が吹き荒れる!」

凶暴な情熱……最新作には、あまりなかったような。
ハウルの動く城』、見てきました。帰郷後の栄えある映画鑑賞第1作。なんと田舎で映画見るのって高校生3年生以来(呆)田舎なウチ近辺ではいちおう街らしい街、四日市の南口にリニューアルオープンしたアムスクウェア6階にできた109シネマズ四日市にて。三重県唯一のDLPゆえか画質はよかったが、スクリーンのサイズや音響などはワーナーマイカルよりも一段落ちるかな? シネコン詣やイマジカ詣を体験してしまうと見るコヤの環境にうるさくなって、困る。
で、内容ですが。原作を読んでもないし、情報も仕入れてないのであくまで勝手な印象ですが、宮崎センセイ、キャラクターや背景にのめりこむ、つうかとらわれすぎるあまり、物語の語り口がややもすると乱暴になってきてるなと。展開とか収束の付け方とか、ツッコミどころ満載すぎる。『もののけ姫』にも『千と千尋の神隠し』にかいま見えたムリムリなお話のまとめ方が、今回は特に目立ったかも。そのわりには、国民的映画作家ならではの「力ワザ」みたいな、過剰な面白さにもやや欠けてて。本作は題材的にも「凶暴な情熱」で押し切るタイプの作品ではなかろうが、燃えさせる要素がもうちょっと欲しかったなぁ。
まぁ、宮崎アニメならではの「細部」のお楽しみは健在なんですけどね。相変わらずヒロインのスカートはためきまくってるし(ワラ)。でも、ばあさんじゃ燃えないよなぁ。童話としてはおかしみある話だけど、アニメとしてはどうなのよって。
あ、声優陣は頑張ってたような。倍賞智恵子、出ずっぱり(爆)思わず、寅さん気分で「さくらぁぁぁ〜」なんて呼びかけたくなったよ。オトメな声はやや苦しいけど十分聴いてはいられるし。エンドクレジットの歌声とかなかなか素敵。劇中でも歌わせてやればよかったのに。我修院達也を目立たせてる場合じゃないだろって。あとはそうだな、加藤治子VS美輪明弘が老魔女対決!、、、するハズが加藤治子のひとり勝ち状態ってのはどうよ? 向田邦子VS三島由紀夫みたいな異種格闘技させないとダメよ!<いろんな意味でかなり勘違い
え、キムタク? 予想どおり、悪くもないけど本人的にも不完全燃焼だろうな。せっかく倍賞智恵子と競演させてるんだから、もうちょっと挑戦させてあげてもよかったんでないの? あんまり興味ないからいいんだけどさ。
思い出した様に付け加えるが、「この城が動く」というキャッチコピーどおり、動く城は壮観このうえないんだけど、それを動かしているのが我修院達也ってのが、なんだかなぁって。火の悪魔という役どころなんだが、この重要なキャラがただの飛び道具風に使われてるだけな具合なトコが弱いなと。城を覆い尽くす燃えさかる紅蓮の炎みたいなすごい画でもあれば、ずいぶん印象が変わったんじゃないかね? 押井守をモデルにした(<決めつけ)犬ころ出してお茶濁してる場合じゃないよ。
ぐちゃぐちゃ文句だのつけてますが、ウォン・カーウァイよりも、ビートたけし鈴木京香の『血と骨』よりも、『海猫』よりも、宮崎駿を選んで正解だったとは思います。オレ個人が以前のように生々しく、真っ向勝負な具合で映画と向き合うには、まだ時間がかかりそう。